メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

親子で作る通学路防災マップ

 18日朝に最大震度6弱を観測した大阪北部地震。大阪府高槻市では、小学校のブロック塀が倒壊して登校中の女児が亡くなった。多くの小中学校が休校になったものの、交通機関が広範囲に止まり、なかなか子どもを迎えにいけず不安を募らせた親も多い。親子で日ごろから考えておくべき地震への備えについて、改めてまとめた。

     ●大阪北部地震機に

     道路からは水道管が破裂して噴水のように水が湧き出し、近くの民家脇には、落ちてきた屋根瓦が散らばっていた--。地震発生直後、小学4年の娘の様子を確かめようと自宅を出た大阪府茨木市の自営業、前田真理さん(42)は変わり果てた通学路の景色に目を疑った。

     地震が起きたのは午前7時58分。娘が学校に到着しているころだった。発生時間が少し早かったら、登校中だ。また、今回の地震では児童の登校の見守り活動に向かう途中だった大阪市の男性がブロック塀の下敷きになって亡くなった。「私が見守りの当番で通学路に立っていたら、自分だけでなく子どもたちを守らないといけない。普段から危険性を考えておくべきだと痛感した」と話す。

     子どもが、親や学校の目の届かない登下校時に被災した場合に備えるにはどうしたらいいのだろう。防災研究に取り組む神戸市の「人と防災未来センター」の主任研究員、松川杏寧(あんな)さんは「入学前や就学した後にも、定期的に子どもと保護者が一緒に通学路を歩き、チェックしておくべきだ」と訴える。

     松川さんによると、今回のように強い地震が起きた場合、ブロック塀など建材を積み重ねた構造物のほか、商店の看板など上からつり下がっているものは崩落する恐れがあり要注意。親子で通学路を一緒に歩き、こうした場所をチェックし、ブロック塀のひび割れといった危険な部分があれば所有者に修理を求めたり、そばを通らずに避けるルートに変更したりしよう。

     では、いざ通学路で大地震に遭遇した場合、どう行動すればいいか。松川さんは「まず、大けがにつながりやすい頭部を守ることが大切」と強調する。手やカバンを頭の上にあてる。帽子をかぶるのを習慣づけてもいい。

     次は避難場所を探そう。松川さんは、一時的な避難場所としてガソリンスタンドを勧める。危険物を扱う関係で建物が頑丈に造られているからだ。また、学校などの公共施設や、比較的新しく建設された建物も推奨する。子どもたちだけで被災した場合、そばにいた大人と一緒に避難する事態が考えられる。「例えば、日ごろから通学路で庭の花や植木の水やりをしている人にあいさつしておいたり、『こども110番の家』の指定を受けている住宅の人と顔見知りになっておいたりすれば、スムーズに避難できるだろう」と提案する。

     ●親同士で助け合い

     子どもが在校時に災害が起きた場合、集団下校するか、保護者らに引き渡すまで待機するかは学校や自治体の判断により異なる。今回の地震では小中学校が休校になり、子どもを迎えに来るよう連絡があっても、すぐに動けない保護者も少なくなかった。このような事態に力を発揮したのが保護者のつながりだった。

     小学1年から中学1年まで4人の子を育てる高槻市の会社員、中野創さん(44)は地震が起きた時、京都市内の職場にいた。病院勤務で訪問看護を担当する妻(44)は自宅にいたが、1人暮らしのお年寄りの安全確認などのために出勤。子どもの無事は学校からの一斉メールで分かったが、引き取り要請にはすぐに対応できなかった。代わりに行ってくれたのが子どもの「引き渡し先」の一人として学校に登録していた妻の「ママ友」。午後2時ごろに帰宅し、無事に子どもたちと合流できた。中野さんは「普段からの親同士のネットワークが大切だと感じた」と振り返る。

     今回、大阪市では休校か授業継続かを巡って市長がツイッターで公表した指示と校長の判断が食い違い、保護者からの問い合わせが相次いだ学校もあった。一般社団法人「プラスワン防災」(大阪市)の坂本真理代表理事は「行政は休校と生徒の引き渡しについてのルールづくりを進め、学校からの情報発信をホームページやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などで充実させるべきだ」と指摘する。

     ●「離れ離れ」へ対策

     子どもが帰宅後ならどうか。茨木市など周辺5市町で親子の防災講座を開く市民グループ「ほくせつ親子防災部」の辻由起子代表は「家族が離れ離れになった時の備えを話し合って」と勧める。

     自宅の中で、死亡やけがの原因になるのは食器棚や冷蔵庫、本棚など家具の転倒。配置や壁・床への固定を考えよう。そのうえで避難先の確認を。生命を守るために一時的に利用する「緊急避難場所」と、災害の危険がなくなるまで滞在できる「避難所」を、多くの自治体がウェブサイトで公開している。

     辻さんは「土地が低く洪水時には浸水の恐れがあるなど、災害によっては近くの避難場所も安全でなくなる場合も。地震や豪雨といった災害の種類ごとに『我が家の場合はどこで待ち合わせるのが安全か』を考えてほしい」と助言する。家族で決めた避難の手順は緊急連絡先の一覧とともにカードを作り、いつでも確認できるようにしたい。さらに辻さんは「近所の親同士で学ぶ機会を作ると取り組む意欲も高まる」と勧める。【野口由紀、御園生枝里、反橋希美】


     ●防災マップの作り方

     「危機管理教育研究所」(東京都)の国崎信江代表に、通学路の防災マップを親子で作る方法を聞いた。まず、インターネットなどで過去の地震の被災状況の写真を親子で見て、地震で自分の町がどうなるのか考えよう。写真は、地震で塀が崩れたり、看板が落下したりした様子のものを。次に、通学路上の危険な場所や、避難できる場所を思い出して既存の地図に描く。それから実際に町を歩き、地図に記入した場所や新たに見つけた場所の写真を撮る。最後に地図を描いて、写真を貼ったり、気づいたことを一言、書き込んだりして完成だ。

     ●点検ポイント カッコ内は危険性

    被害の出る可能性がある場所

    ・道路(亀裂)や橋(落下)

    ・ブロック塀、自動販売機、電柱、灯籠(とうろう)(倒壊)

    ・建物の窓ガラスや看板、屋根瓦(落下)

    ・マンホール(液状化によるせり上がり)

    避難できる安全な場所

    ・比較的新しいビル▽広めのコインパーキングや公園(隣に建物や塀がないところ)▽校庭など

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. プラスチック危機 海流入、50年までに魚の総重量超え?
    2. 西日本豪雨 し尿処理できず「水や食事我慢」 愛媛・大洲
    3. ケンタッキー フライドチキン食べ放題 20日から
    4. 西日本豪雨 不明の犬1匹を保護 福岡
    5. 将棋 藤井七段、今泉四段に敗れる NHK杯1回戦

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]