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ひたちなか海浜鉄道

「招き猫」ミニさむが「箱入り娘」に

事務室の扉の前で「脱走」の機会をうかがう駅猫ミニさむ=茨城県ひたちなか市の那珂湊駅で、米田堅持撮影

 茨城県ひたちなか市の第三セクター「ひたちなか海浜鉄道」(勝田-阿字ケ浦、14.3キロ)が2017年度決算で黒字になった。東日本大震災の復旧工事で国から補助金を受けた11年度を除けば、発足10年で初めての単年度黒字だ。一時は廃線の危機にあったローカル線は、地域密着の地道な努力で一転し、現在は路線延伸の動きも具体化している。そんな同鉄道の「顔」として親しまれているのが那珂湊駅にすむ2匹の駅猫、雄の「おさむ」と雌の「ミニさむ」だ。最近は駅の中にいることが増えたというミニさむをカメラに収めようと現地へ向かった。【米田堅持】

ドクターストップで箱入り娘に

 東京都内から約2時間で到着した那珂湊駅。駅舎内にあるケージの中で、2匹は仲良く並んでお昼寝の最中だった。ミニさむはこれまで、日中は屋根裏や駅の周辺を自由にうろつき、えさの時間だけ事務室に戻ることが多かったため、駅を訪れても遭遇できるチャンスは少なかった。しかし、最近はほとんどの時間を事務室の中で過ごすようになった。2匹を定期的に検診している獣医師が、ミニさむがけがをしているのに気づいたのがきっかけだった。どうやら、外出中に別の猫とけんかをして傷ができたらしい。ミニさむにとっては大好きなお出かけに「ドクターストップ」がかかってしまった形だが、ファンにとっては、会える機会が増えたことになる。

元々は迷い猫

 2匹は迷い猫だった。09年に初めて那珂湊駅にやってきたのはおさむ。名前はかつてヒットした曲「黒ネコのタンゴ」の皆川おさむさんから拝借した。駅にすみ着くまでのことはよく分かっていない。2匹の世話をしている同鉄道運輸部業務課の野村徹さんによると、おさむは子どもの甲高い声や追いかけられることは苦手という。顔の前に足を出すと普通の猫はじゃれてくるのに、おさむは嫌がる。「過去に何かあったのかもしれない……」と推測する。人慣れしていることもありメディアに登場する機会も多く、おさむ目当ての観光客も多く訪れる。寒い時期は、事務室内の椅子の上にいることも多く、時には「社長の椅子」を奪うこともあるという。子猫のうちから駅を出入りしているミニさむは、おさむよりも警戒心が強い。駅舎の外にいることも多いため、地元以外では知名度は今ひとつだった。「駅猫目当てのお客さんもいるから、全く姿が見えないのも……」と野村さんは話した。

「駅猫に会いにきて」

 2匹は定期的に獣医の検診などを受けており、野村さんたち社員の愛情もあって元気に暮らしている。おさむは推定16~17歳と高齢ながら、他の猫とけんかをすることがなく、けがをしないことが長寿につながっているようだ。

 一方、けがが原因で「箱入り娘」となったミニさむは、おさむと仲良く昼寝をしたりじゃれたりしているが、やはり外が恋しい様子。事務室の中を自由に動き回ることはできるが、切符販売用の窓口にある置物を動かして、すき間を作り脱走するなど、おてんばぶりは相変わらず。扉の前に座り込んで開くのをじっと待っていることもあり、「ニャー」と鳴いて駅員に懇願する様子はまるで演技派女優だ。

 初の黒字を達成したとはいえ、黒字額はわずか2万5000円。18年度は原油高に伴う燃料費の高騰に加えて、線路を維持するための保線や運行している車両の維持費などがかさんでおり、2年連続の黒字は早くも黄信号が点灯している。同鉄道の吉田千秋社長は、「『ミニさむ』が駅にいる時間も増えたので、2匹の駅猫にぜひ会いに那珂湊へ来て」と「招き猫」効果にひそかに期待を寄せている。

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