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活動方針を議論する御嶽山火山マイスターたち=長野県木曽町三岳支所で2018年6月7日、小川直樹撮影

 死者58人、行方不明者5人を出した2014年9月の御嶽山(おんたけさん)(長野・岐阜県境)噴火災害から間もなく4年。災害の教訓を伝え、地域防災活動のリード役となる人材を育てようと、長野県は今年度から「御嶽山火山マイスター」制度を設けた。目指すのは「火山の防災対策が日本で最も進んでいる地域」。1期生の8人は山シーズンが始まる7月から本格的に活動を開始する。

     ●長野県が設立

     御嶽山ふもとの木曽地方は噴火後、観光客数の減少が続き、活力を失っている。噴火災害を語り継ぐとともに、御嶽山の自然や歴史を伝え、地域再生にどうつなげるか。県や地元町村は対策としてマイスター制度に着目した。

     火山マイスター制度は、00年に噴火災害があった北海道・有珠山の地元が初めて発足させた。洞爺湖有珠火山マイスターとして08年に開始し、現在48人が参加している。御嶽山はこれに続く2例目だ。

     長野県は、有珠山のマイスターを参考に、昨年5月から学識者を交えた検討会議を重ね、制度づくりを進めた。登山者や観光客への情報発信▽子どもらの防災教育▽自然や山の恵みの伝承--など、求められるマイスター像を確認し、今年1~2月、火山を学ぶ事前講習会を2回開催。受講者を対象に、2月から受験申し込みを受け付けた。

    長野県木曽町の開田高原から望んだ春の御嶽山=木曽町で2018年5月24日、小川直樹撮影

     ●1期生は8人

     応募したのは45人。御嶽山と深く関わり、マイスター活動に熱意と主体性をもって取り組むことができるか、を書類と面接で選考し、木曽地方に住む8人が3月に合格した。メンバーは40~60代で、うち1人は女性。山小屋経営者、小学校教員、公民館館長、タウン誌編集者らさまざまな立場の人が集まった。

     「噴火が起きれば、すぐ逃げ、身を隠すことを伝えたい」。メンバーの1人、山岳ガイドの笹川隆広さん(53)は噴火の瞬間、御嶽山の8合目付近で、山の景色を撮影するテレビクルーを案内していた。噴煙が上がった際、怖いとは感じず、「噴煙と紅葉の両方が入ったいい映像が撮れると思い、『撮って、撮って』と言ってしまった」と振り返る。その直後、噴煙に包まれ、恐怖を感じた。クルーにけが人はなかったが、「怖い思いをさせてしまった。同じ過ちを繰り返さない」と後悔の念は消えない。マイスター制度ができると知り、すぐに手を挙げた。

     御嶽山9合目で石室山荘を経営する向井修一さん(54)も噴火当日、山荘にいて、負傷して避難してきた人たちを受け入れた。「あの惨状を目の当たりにした者として、将来の減災に取り組んでいきたい」と語る。

     ●火山防災リード

     8人は5月から会合を重ね、今後の活動のルールを話し合っている。メンバーが自主組織「御嶽山火山マイスターネットワーク」をつくり、代表や広報、研修などの分担を決めた。フェイスブックを使った情報発信や、住民も交えた研修会、学習の登山などを行う予定だ。

     洞爺湖有珠火山マイスターに5年前、合格し、御嶽山火山マイスターの制度づくりで助言役を務めた川南結さん(27)=山梨県富士山科学研究所プロジェクト研究員=は「多様な人が集まり、地域に根ざした活動をできるのが火山マイスターの大きな特徴。住民が火山の動きで不安に思った時、気軽にマイスターに質問するなど、行政が対応しきれない事もできる」と意義を強調する。

     長野県は来年以降、御嶽山火山マイスター認定者を増やしていく。川南さんは「1期生が組織や活動のあり方をしっかり議論し、土台を固めることが大事。意見が異なった時でも、『この地域を良くしたい』という共通の認識があれば、いい取り組みはできる」とエールを送る。【小川直樹】

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