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京都・読書之森

眠れないほどおもしろい「日本の仏さま」 /京都

 <活字を楽しむ>

     (並木伸一郎・著 三笠書房、650円(税抜き))

     京都で記者として活動する以上、寺社の取材は必須対象。しかし一応は仏教徒で仏像の名前ぐらいは聞いたことがあっても、知識量は非常にお寒い私にとって鬼門でもある。

     今年4月、11年ぶりに府内に戻ったばかりの頃。とある有名寺院で金色に輝く仏像を見て、「あのご本尊は……」と問うたとき「阿弥陀如来です」と住職から少し冷ややかに教えられた。

     でも阿弥陀如来って? 格の高い仏であることはなんとなくわかるが……。「このままではまずい」と手にしたのがこの本だ。

     筆者は世界中のさまざまな謎を調べ、多様なメディアで発表している。想像した通り、文章のノリは軽めで写真、図表も満載。あくまで「仏教初心者」に配慮しつつ、専門的な内容まで踏み込んで解説している。

     中でもありがたかったのは「仏像の種類」についての解説だ。

     (1)如来がいわゆる仏(悟った人)でありブッダ(2)菩薩は悟る直前の修行者で人々の救済を施す存在(3)明王は如来の化身で煩悩や悪に対する怒りの姿(4)天部は仏教以前のインドも神々で守護神--の4種類があるとまず記されている。

     以前曼陀羅(まんだら)を取材した時、阿弥陀如来と大日如来が無数の仏の頂点として描かれていたから、やっぱりそうなのかと納得。奈良の大仏(=毘盧遮那(びるしゃな)仏)も当然如来だ。

     だったら頂点に君臨する仏像だけをあがめていればよいようにも思えるが、日本では衆生を救済してくれる存在で願いごとがしやすいので、観音と地蔵に代表される菩薩がそれ以上に信仰されているという。観音は33の変化身で現れるのにちなんで三十三間堂や西国三十三所があり、地蔵は六道すべてに対応するとして六地蔵がまつられているらしい。なるほど。

     「仏の顔も三度まで」なので人々の愚かな心を打ち砕くため不動明王らが、如来の「メッセンジャー」として遣わされ、怒りで人々に教え示しているのか。

     仏の中で最下層の天部は仏教世界の住人となるため「ガードマン」になる誓いをたてたインド神話の神々。日本でいつの間にか福の神となった七福神の大黒天、弁財天、毘沙門天や「四天王」の面々もいる。ともにグループメンバーの阿修羅と帝釈天の戦いを「修羅場」と称することもむろん初めて知った。実に個性的でバラエティーに富んでおり、寺院によっては本尊としてあがめられている。

     一読すれば仏教をなんとなく理解できたような気になる。無数の仏や教典が存在する宗教だけに、素人はそれでいいのでは、ということを納得させてくれる本だ。【矢倉健次】

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