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村上陽一郎・評 『性の進化史 いまヒトの染色体で何が起きているのか』=松田洋一・著

 (新潮選書・1404円)

 まだ現役で教壇に立っていた頃、私は学生によくこんな話をした。女性は「弱き」性だというが、生物学的には全く間違っている。現象面でも、胚や胎児の段階から高齢まで、生き残る確率は女性の方が圧倒的に高いが、理論的にも話は簡単だ。性を決める染色体は、女性はXX、男性はXY、X染色体は、ほかの染色体と比べても大きく、遺伝情報をかなり持っているが、Y染色体は極端に短く、ほとんど遺伝情報を持っていない。としたら、比較の結果は歴然たるものではないか。女性が「人間」なら、男性は「欠陥人間」なのだ。

 本書は、この雑ぱくな言い方を、現代の知見をフルに生かして、正確な物語にしてくれる。そればかりではない。すでに極端に小さなY染色体、それがなければ、ヒトは男性になれないその染色体が、実は歴史的に劣化の一途を辿(たど)ってきている、というのだ。その上、現代の一夫一婦制、顕微授精などによる生殖補助医療技術、あるいは生活習慣なども絡んでか、精子の数の減少、劣弱化も顕著だという。

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