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岩間陽子・評 『力の追求 ヨーロッパ史1815-1914 上・下』=リチャード・J・エヴァンズ著…

 ◆リチャード・J・エヴァンズ著、井出匠ほか訳

 (白水社・上巻6048円、下巻6264円)

歴史とは何かを問い続けた営み

 英国で最も尊敬される歴史学者の一人、リチャード・J・エヴァンズによる19世紀ヨーロッパ史である。読者の眼前には、ナポレオン戦争終結直後から、第一次大戦勃発までのヨーロッパの風景が、絢爛(けんらん)たる絵巻物のように展開する。ずっしり重たい上下2巻の大著だが、各章は、冒頭その時代を生きた一市民のライフ・ストーリーから始まり、読者をあっという間に当時の世界へ連れて行く仕組みになっている。エヴァンズは元来ドイツ社会史が専門であり、その特徴が随所に生かされている。権力者の歴史を超えて、経済、社会、技術、思想、感情、芸術など、様々な局面を扱う包括的な叙述となっている。王侯貴族から労働者、農民や女性まで、政治家の執務室から夫婦の寝室まで、歴史の細部に目が注がれる。

 さらにそれは、膨大なデータに支えられている。例えばトイレ。1830年代のパリでは、毎日230立方メ…

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