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論の周辺

論客の死がもたらす空白

 1月に78歳で自死した評論家、西部邁(すすむ)氏の著書刊行が相次いでいる。新装版などの再刊も含むが、半年足らずの間で10冊近くに上り、保守派の論客としての存在の大きさを改めて感じさせる。1980年代から経済学者の枠を超えて活躍し、テレビで議論を戦わせる姿も広く知られた。96年から論壇を見てきた記者にとっては、西部氏が94年に創刊・主宰したオピニオン誌『発言者』(2005年終刊)の印象が強い。

 直接本人に取材したのは05年の1度だけだが、知的でありながら人情味の深さが伝わってきた。また、60年安保反対闘争について調べた際、氏の文章を興味深く読んだ。学生時代の彼は、全学連(全日本学生自治会総連合)主流派を占めたブント(共産主義者同盟)の幹部だった。後に「転向」したわけだが、『六〇年安保 センチメンタル・ジャーニー』(86年。これも最近、文春学芸ライブラリーで再刊)などでは自らの「転向」の…

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