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一点張り・論説室から

災害1日前に戻れたら何を=三野雅弘

 大阪府北部を中心に震度6弱を観測した地震は、大都市の朝のラッシュ時を襲った。広範囲で鉄道網がストップし、ライフラインが混乱するなど都市の脆弱(ぜいじゃく)性をさらけだした。新たな課題だろう。

     全国各地で自然災害が多発しているが一つとして全く同じものはない。災害に強い社会を作るには一つ一つ教訓を積み重ねて共有していかなければならない。

     私が注目しているのは、2006年度から13年度まで内閣府が取り組んだ「1日前プロジェクト」という事業だ。地震や風水害の被災者に「災害1日前に戻れたらあなたは何をしますか」と質問した。国民に広く防災・減災への関心や意識を高めてもらうことが目的だ。

     「安否確認のメーリングリストを整備していれば」などの後悔の思いや「地震直後に車を運転するのはかなり危険だった」という実体験が集まった。内閣府のホームページで見られるが東日本大震災の翌年までの災害についてまとめている。今でも市民団体などから「事業を復活させてほしい」という要望が時々あるという。

     兵庫県立舞子高校元教諭の諏訪清二さん(58)は国内外でこのアイデアを活用している。被災体験のない子供たちに何をするかグループ討論し発表させ、何も実践していないことに気づいてもらうのだ。

     「内閣府のサイトに私たちが新しい災害エピソードを投稿して更新できるようになれば裾野も広がる」と諏訪さんは言う。

     今回の地震で女児の命を奪ったブロック塀を管理していた小学校の校長は、「本当に悲しく、時間を巻き戻したい」と語った。40年前の宮城県沖地震以降、多くの地震でブロック塀の危険性は指摘されていたが対策は取られず、最悪の事態を招いてしまった。

     「この塀は危ない」という3年前の防災アドバイザーの警告も生かされなかった。過去の災害を「人ごと」として見ていた証左だろう。

     災害は将来必ず起きる。「想定外」を少しでも減らし、被害の拡大を防ぎ、一刻も早く復旧し、いざという時にどう行動すればいいか。そんな想像をめぐらすことが、「1日前」の備えにつながるのではないか。


     「一点張り」は論説委員が交代で執筆します。

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