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社説

アジアの自由貿易圏 保護主義に重層的対抗を

 米国の保護主義圧力に対抗するには、多くの国による自由貿易圏を重層的に作ることが欠かせない。

     東アジア地域包括的経済連携(RCEP=アールセップ)と呼ばれる自由貿易交渉を巡り、日本など16カ国は年内の大筋合意を目指す方針で一致した。アジアで別の自由貿易圏を目指す環太平洋パートナーシップ協定(TPP)とともに米国に対する防波堤の役割を担えるものだ。

     RCEPは、TPPに入っていない中国やインドなどが参加し規模が大きいのが特徴だ。世界の国内総生産(GDP)の約3割と、米国が離脱したTPPの倍以上になる。

     米国抜きの自由貿易圏が拡大すると、効果は大きい。

     トランプ米政権は高関税で個別に相手国を脅し、米国に都合のいい譲歩を引き出そうとしている。アジア各国が自由化でまとまれば、米国の一方的要求を拒む根拠にできる。

     さらに米国をアジア向け輸出で不利な立場に追い込める。米産業界が不満を強めて、トランプ政権に翻意を促す可能性も出てくる。

     もともと安倍政権は中国がRCEPを利用して影響力を拡大することを警戒し、TPPを重視してきた。だが今は日中とも米国が仕掛ける貿易戦争の脅威に直面している。RCEPの重要性が増し、日本も早期合意に力を尽くすことが求められる。

     とはいえ合意は簡単ではない。交渉は5年前に始まったが、折り合った分野は限られる。各国の経済発展の差が大きいためである。

     日本やオーストラリアは貿易自由化や知的財産権保護のルールで高水準の合意を主張してきた。一方、中国やインドは急速な自由化や厳格なルールに慎重な姿勢を示してきた。

     高水準の自由化やルールで合意したTPP並みを求めるのは難しいだろう。かといって低すぎると意義が失われる。できるだけ水準を上げれば、アジア全体の貿易をさらに活発化させる効果が見込める。各国の国益にもつながるはずである。

     それだけにTPPとRCEPの両方に参加する日本の役割が重要だ。

     TPPの成果をRCEPに生かすよう努めるべきだ。中国にも水準の高い自由化やルール整備の大切さを説き、アジアの自由貿易推進に主導的役割を果たす必要がある。

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