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平松 洋子・評『本日の高座 演芸写真家が見つめる現在と未来』橘蓮二・著

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身ひとつで芸と人物に迫り話芸の神髄を写し出す

◆『本日の高座 演芸写真家が見つめる現在と未来』橘蓮二・著(講談社/税別1600円)

 その場に流れる空気の微細な揺れが、さざ波のように伝わってくる写真の数々。落語家、浪曲師、講談師、芸人……百四十人以上。大御所から新人まで、日本の演芸に関わるイキのいい人物が登場するのだが、それぞれの姿に見入るうち、じんわりと体温が上昇し、ただならぬ感覚を覚える。

 本書は、1995年から寄席演芸を撮り続けてきた写真家による入魂の一冊だ。冒頭は、自身の親友であり、「受ける刺激は計り知れない」という落語家、柳家三三(さんざ)師匠。高座での姿を中心に九態、噺家(はなしか)というプロの一瞬が捉えられている。客席から見る三三師匠には、いつもキレ味を強く感じるのだが、この九態はふくよかな人間味をまとう。次に登場する「奇跡の男」は、今をときめく講談師、神田松之丞。松之丞…

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