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社説

メキシコに新興左派大統領 懸念拭えぬ米国との関係

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 メキシコ大統領選で新興左派政党「国家再生運動」のロペスオブラドール氏が地滑り的勝利を収めた。中南米でもポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭した。12月に就任し、メキシコ初の左派政権が誕生する。

 同氏は既成政党による歴代の保守政権が、政治腐敗と治安悪化、貧困をもたらしたと批判し、不満が鬱積する国民の支持をつかんだ。

 ペニャニエト現政権下で汚職の逮捕者は相次ぎ、麻薬組織が絡む殺人事件も絶えない。国民の約4割を貧困層が占めるメキシコで、変化を求める声が強まったのは不思議ではないだろう。

 ロペスオブラドール氏は同時に、トランプ米大統領の「米国第一主義」に対抗するように「メキシコ第一主義」を訴え、共感を得た。気がかりなのは就任後の両国関係となる。

 トランプ氏は一貫してメキシコに対し強硬路線を取ってきた。麻薬や犯罪対策として不法移民の流入を防ぐため国境に「壁」を建設し、費用をメキシコに支払わせようとする。

 メキシコ側は麻薬などの対策の必要性を認めつつ、メキシコ人移民すべてが悪くはないと反発している。ロペスオブラドール氏は選挙運動中、トランプ氏によるメキシコ批判を激しく非難したこともあった。

 もう一つの大きな不安材料は米国、メキシコ、カナダの3カ国による北米自由貿易協定(NAFTA)の扱いだ。トランプ氏はこれが米製造業のメキシコへの工場移転と貿易赤字につながったとして再交渉を進めている。望む合意ができなければ離脱する可能性も示唆している。

 ロペスオブラドール氏は当選後、現政権と共同で再交渉にのぞむ姿勢を見せているが、かつてはメキシコ農業保護の立場から批判的だった。両氏は電話協議で友好的に応じたが、互いに自国第一主義を唱えるだけに対立を深める懸念は拭えない。

 メキシコと米国は長年、協力関係を培ってきた。特に1994年に発効したNAFTAは3カ国間の貿易を増大させた。メキシコには日系企業1100社以上も進出し、自動車メーカーなどの対米輸出の拠点となっている。貿易を制限するような見直しはどの国の利益にもならない。

 次期大統領には安定した対米関係に留意してほしい。

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