メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

文科省

「次官候補」逮捕に激震 受託収賄容疑、また不祥事

 組織的な天下りや学校法人「加計学園」を巡る問題など不祥事が続いてきた文部科学省に新たな疑惑が浮上した。同省事務方トップの事務次官の有力候補と目された局長が大学側への便宜の見返りに、わいろとなり得る「息子の不正合格」を得たという受託収賄事件。教育行政への信頼を揺るがす事態に、同省関係者は言葉を失った。

     「局長逮捕」が明らかになった4日夕、文部科学省に衝撃が駆け抜けた。「恥ずかしい話で、モラルがゆがんでいる。文科行政を担う者として失格だ」「教育をつかさどる文科省が最も信用を失うのが、この手の裏口入学だ。残念だし、腹が立つ」。東京地検の捜索も受けた省内からは憤りの声が相次いだ。

     同省事業を巡って、東京医科大関係者から便宜を図るよう依頼された昨年5月、佐野太容疑者(58)は官房長だった。社会の強い批判を浴びた天下りあっせん問題の監督責任を問われて文書厳重注意を受けた直後で、加計学園問題が報じられた時期とも重なる。別の中堅職員は「(わいろを受け取る)タイミングが最悪。天下り問題で綱紀粛正が叫ばれていた時だったのに、少しは良心が痛まなかったのか」と首をひねる。

     佐野局長は1985年、旧科学技術庁に採用され、山梨大学副学長などを経て2016年6月に官房長、17年7月に科学技術・学術政策局長に就任。通常は旧文部省出身者が務めることが多い官房総務課長や会計課長といった中枢ポストを歴任し、「(事務方トップの)事務次官に上るのは確実」とささやかれていた。

     佐野局長を知る幹部は「上司には従順で、部下には高圧的な態度で接する『官僚的な官僚』という評判だった」と話す。別の文科省関係者も「人に仕事を振るのがうまく、世渡りがうまいタイプ。部下には非常に厳しく、文書の位置を『1ミリずらせ』と指示を出すくらい細かかった」と振り返る。

     科学技術担当相の秘書官を務めたこともあり、「政治家とあまりに親密な様子を見せるので、省内で物を言えない雰囲気があった」と声を潜める職員も。

     冷静沈着なトップ官僚が組織の信頼が揺らいでいるさなかに、「わいろ」を受け取るという不正に手を染めたのはなぜか。中堅職員は「これまで失敗のない官僚人生だったから、ばれないと思ったのかも。身から出たさびだ」と突き放した。【伊澤拓也、服部陽、酒造唯】

    深くおわび 東京医科大

     「贈賄側」とされた東京医科大は4日夕、「皆様に、多大なご迷惑、ご心配をおかけしていることに、深くおわびを申し上げます。東京地検による捜査を受けていることは事実であり、厳粛に受け止めています」などとするコメントを出した。

     谷口浩司容疑者(47)が役員を務めていた都内の医療コンサルタント会社は2010年に設立され、資本金は1000万円。ホームページによると、「日本政府や各国政府とのネットワークを活(い)かしながら医療現場を大切にしたコンサルティングを行っております」などとうたっている。【遠山和宏、服部陽】

    事業補助に昨年度60校

     文科省によると、東京医科大が支援を受けた「私立大学研究ブランディング事業」は、私立大の特色ある事業や研究のブランド化を目指すのが目的で、1大学あたり年計2000万~3000万円を5年間補助する。2017年度は188校が応募し、同11月に東京医科大を含む60校が選ばれた。

     地域での事業化を目指すAタイプと、世界的な先導的研究を目指すBタイプの2種類があり、東京医科大はBタイプで採択された。同大のテーマは「先制医療による健康長寿社会の実現を目指した低侵襲医療の世界的拠点形成」。同大のホームページによると、患者の唾液や尿、血液などから、がんや生活習慣病、精神疾患など多くの疾患を同時に検査できる態勢を確立し、早期治療を目指すとしている。ホームページでは、鈴木衛学長自ら選定をPRしていた。

     選考は、17年3~6月に各大学から提出された事業計画書などを基に、11人の選考委員が点数をつけ、合計点の高い方から選ぶ方式だった。詳しい選考過程や点数は公表されていない。【酒造唯】

    子の不正合格「わいろ」異例

     贈収賄事件のわいろとは、公務員の職務の「対価」としての不法な報酬をいう。この対価は多くの場合、現金などの財物だが、判例は「人の需要や欲望を満足させるに足るべき一切の利益を含む」とし、就職のあっせんや異性間の情交なども含むとされ、財物とは限定されていない。

     実際の事件でも、現金以外に商品券やビール券など換金できる物品のほか、贈賄業者に自宅のリフォーム代を肩代わりさせたケースなどがある。しかし、「子の不正合格」をわいろととらえた事例は極めて異例と言える。【服部陽】

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 時代の風 豪雨当日の宴会や死刑「実況」 今やるべきはそれか?=中島京子・作家
    2. 西日本豪雨 元広島・黒田さん、義援金1000万円寄付
    3. 茨城・大洗町 財政難で救急車老朽化も買い替えできず
    4. 西日本豪雨 誘導警官2人犠牲に 遺族「誇りに思う」
    5. 西日本豪雨 「見捨てたりしない」命救う無名のボート

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]