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「星新一×真鍋博」展

時代築く、二人の表現 表紙や挿絵原画200点 県美術館 /愛媛

1977年の香港旅行時に笑顔で写真に納まる(左から)小松左京、真鍋博、星新一=和田誠氏撮影、愛媛県美術館蔵

 原稿用紙20枚以内に物語を収める「ショートショート」の分野を確立し、日本を代表するSF小説作家となった星新一(1926~97年)。日本のイラストレーターの草分けとなった真鍋博(1932~2000年)。ペアを組んだ多数の本から二人の世界をたどるコレクション展「星新一×真鍋博=本、ふたりの仕事」が松山市堀之内の県美術館で開かれている。8月19日まで。【松倉展人】

     会場に入ると、1冊の雑誌が目を引く。小説家デビュー直後に32歳の星が発表した作品「おーい でてこーい」(宝石1958年10月号)。当時26歳の真鍋が挿絵を描き、初めて星とペアを組んだ。

     台風が去り、村はずれにできた深い穴の中に、都会の人はなんでも捨てた。原子炉のカス、外務省の機密書類、元恋人との写真……。都会はきれいになった。ある日、「おーい、でてこーい」と叫ぶ声が頭上から聞こえ、声の方から小さな石ころが落ちていくが、気づかれない--という星の代表作の一つ。60年後の今も新たなファンを呼ぶ作品だ。

    真鍋博のイラストが想像力に訴えかける星新一著「ようこそ地球さん」(新潮文庫、1972年)のカバー原画=愛媛県美術館蔵

     ショートショート集「ボッコちゃん」「ようこそ地球さん」「だれかさんの悪夢」……。二人の仕事は94年の新潮文庫「つねならぬ話」まで36年間続いた。星が自身を語る際、「真鍋さんの絵に、話をつけている星です」と名乗ったと伝えられるように、互いを尊重して時間をかけて制作に取り組み、深く影響を与え合った。会場には本の表紙や挿絵原画など約200点が並び、表現の移り変わりを伝えている。

    星新一著「未来いそっぷ」(新潮文庫、1982年)の表紙原画。印刷表現を重視し、真鍋博自身の詳細な色指定が残る=愛媛県美術館蔵

     同じ題の本でも、単行本として初めて出版された際と、数年後に文庫化された時点では真鍋の表紙絵や挿絵のトーン、空間構成が全く違うことも珍しくない。コレクション展を企画した喜安嶺(きやすれい)学芸員は「1960年代は真鍋の自己表現が比較的強かったのに対し、70年代以降は印刷物として手に取った際の見やすさを意識して表現をそぎ落としている」と語り、星の作品は真鍋の絵に影響を与え続けたと考えている。

    来月1日トークショー

     旧別子山村(現・新居浜市)出身の真鍋の絵画、映像作品と関連資料約2万2000点は遺族から同館に贈られ、整理・保存が進められてきた。今回のコレクション展も昨年に没後20年となった星との交流を中心に企画。8月1日午後2時からは星の次女マリナさんと真鍋の長男真さんがトークショーで「二人の父とその仕事」を語り合う。

     観覧料は大人300円、高大生200円、小中学生無料。問い合わせは県美術館(089・932・0010)。

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