連載

加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

バッハとイタリア・オペラをテーマに、執筆、講演、音楽ツアーの企画など多彩に活動する加藤浩子さんのコラム。クラシックナビ連載。

連載一覧

加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

古都にたたずむドイツ文化のエッセンス~ヴァイマル、ドイツ国民劇場

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
ドイツ国民劇場の外観。正面に立つのはゲーテとシラーの銅像(Foto_Thomas Mueller)
ドイツ国民劇場の外観。正面に立つのはゲーテとシラーの銅像(Foto_Thomas Mueller)

 意外に思われる方もあるかもしれないが、オペラハウスの数が一番多い国はドイツである。

世界のオペラハウスを網羅するサイト「Operabase」によると、ドイツの劇場の数は106(音楽祭などは除く)で、サイトに取り上げられている77カ国のなかで随一。合計の公演数は7062回(2018/17シーズン)にのぼり、これもダントツだ。ドイツは長い間多くの国に分裂し、各地で宮廷や都市が栄えたので、オペラがさかんになった17~18世紀に各地に劇場が造られ、時代とともに地方自治体に引きつがれて今に至っているのである。さらに言えば、このコラムでもご紹介したミュンヘンのバイエルン州立歌劇場のようにもっぱらオペラばかり上演する文字通りの「歌劇場」もあれば、オペラからミュージカルから演劇からなんでもござれの「劇場」もある。中小の都市では、当然ながらなんでも上演する「劇場」が中心だ。けれどそんな「劇場」にもそれぞれ個性があり、地域に根づき、愛されている。ドイツの文化の懐の深さを思い知らされる。

 ドイツ中部の小都市ヴァイマル(ワイマール)は、ドイツを代表する文学者のゲーテやシラーが活躍した文化都市として有名だ。作曲家では19世紀にフランツ・リストが宮廷楽長をつとめたし、18世紀にはバッハが宮廷オルガニストとして活躍している。それ以外にも哲学者のニーチェや画家のルーカス・クラナッハ(父)はここで世を去り、建築家のグロピウスはモダニズム建築の震源地となった「バウハウス」大学をこの街で設立した…

この記事は有料記事です。

残り2810文字(全文3450文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集