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米国

「保護」される自動車業界 「失業増える」輸入制限反対

輸出を待つ自動車=横浜港で2017年1月、本社ヘリから宮間俊樹撮影

 【ワシントン清水憲司】トランプ米政権は6日、自動車・同部品の輸入制限発動を視野に入れた影響調査の一環である意見公募を締め切った。企業や日本を含む各国政府などが2300件超の意見を出した。輸入増加が「国家安全保障上の脅威」になるかどうかを調査中だが、「保護」される側の自動車各社が反発する異例の展開になっている。

     米商務省は19、20日に意見を直接聞く公聴会を開き、月内にも調査を終了する予定。トランプ大統領は今夏から秋にかけ、輸入制限を発動するかどうかを判断する見通しだ。

     米ゼネラル・モーターズ(GM)や米フォード・モーターを含む日米欧の自動車大手12社でつくる業界団体オート・アライアンスは、米シンクタンクの試算をもとに、25%の追加関税が課された場合、米国で19万5000人が失業すると指摘。各国が報復関税を発動した場合には、失業者が62万4000人まで増加するという。また、各国の報復関税は、鉄鋼・アルミニウム輸入制限と対中制裁関税の合計の「3倍近くの規模になる」との見通しも示し、反対の意向を表明した。

     米国内に10工場を構えるトヨタ自動車も「対象になるのは、欧州連合(EU)と日本、韓国、カナダ、メキシコ。同盟国であり、安全保障上の脅威になり得ない」と反論。トランプ政権が輸入増加で関連産業の国内基盤が失われかねないことを「脅威」とみなすのに対しては、8工場のホンダが「米国内の生産能力は拡大し続けている」と指摘した。

     3月に発動した鉄鋼・アルミ輸入制限は、保護対象となる国内関連業界が支持したが、今回は関係業界が反対する中で輸入制限の実施に突き進む形だ。

     各国政府では、日本政府が「米国の経済や自動車産業に深刻なダメージを与える」としたほか、韓国やカナダ、メキシコも反対の意見書を出した。ところが、調査結果を待たずに、トランプ氏は1日放送のテレビ番組で追加関税の税率は「20%だ」と言及。関係者の間では「発動を前提にした調査だ」との疑念が強まっている。

    2017年の日本車の米国販売台数は現地生産と国外からの輸出で半々を支える

    日本勢も対応苦慮

     トランプ米政権が中国に制裁措置を発動したのを受け、日本の自動車大手が警戒感を強めている。米国が検討中の自動車・同部品の輸入制限が現実味を帯びてきたからだ。追加関税が課されれば販売や収益への影響は避けられず、各社はトランプ政権の動向を注視している。

     米中の追加関税の応酬を受け、日本商工会議所の三村明夫会頭は6日、東京都内で記者団に対し「(「貿易戦争」の)序曲が始まった。全世界の貿易が縮小すれば世界経済に影響し、日本も大きな影響を受ける」と懸念を示した。ある自動車大手幹部も「ついに恐れていた事態に突入した。次は自動車だ」と不安を隠さない。

     日本自動車工業会などによると、トヨタ自動車やホンダなど日本の自動車大手6社は米国内で335万台(米国外への輸出分42万台を除く)を生産、米国での日本車販売台数約664万台の半分を占め、残りを日本(約174万台)や、メキシコなど(約155万台)から輸出。大和総研の試算では、これら輸出される日本車・部品に25%の追加関税が課されると税負担は最大で計2・2兆円増える可能性があるという。

     そのため、日本の自動車業界も反発を強めている。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ社長)は先月、「車両価格の上昇などで不利益を被るのは米国のお客様だ」と懸念を表明。別の自動車大手幹部も「もし関税引き上げとなれば、価格に相当反映させなければならなくなり、販売面で相当苦しくなる」と頭を抱える。【竹地広憲、横山三加子】

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