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中村桂子・評 『もうひとつの脳…』=R・ダグラス・フィールズ著、小西史朗・監訳、小松佳代子・訳

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 ◆『もうひとつの脳 ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」』

 (講談社ブルーバックス・1620円)

脳内情報処理を総合的に考える時

 話はアインシュタインの脳から始まる。相対性理論はよく分からないのに、独特の魅力がある。一九五五年、アインシュタインの遺体を解剖した病理学者は、その脳を残したい衝動を抑えられず保存液に漬けた。その三〇年後、神経解剖学者が、大脳皮質の前頭前野と下頭頂野の切片を調べた。前者は抽象化、計画立案に関わり、後者は損傷すると数学的思考が困難になることが知られている。あの理論を考え出した脳ならどこかに何か特徴があるはずだ。

 ところが、ニューロンの数、大きさ、見かけなどのいずれも対照群と何ひとつ違わなかった。ただ、グリア細胞と呼ばれるニューロンではない細胞だけが、アインシュタインの脳には他の人の倍近く存在したのである。

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