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西日本豪雨

民家襲う土砂 濁流、すべなく(その1) 完成直後、砂防ダム崩壊 広島

 降り続く豪雨は西日本を中心に各地で甚大な被害をもたらした。河川の氾濫や土砂崩れで、街の様子は一変。広島では多くの家屋が土砂に押しつぶされ、岡山や愛媛では住宅街が濁った水にあっという間に覆われた。7日に入り、犠牲者や行方不明者の数は増え続け警察や消防の懸命な活動が追いつかない深刻な状況に陥った。

    完成直後、砂防ダム崩壊 広島

     広島市安芸区矢野東7の梅河団地(約100世帯)では十数棟が倒壊し、10人が安否不明になっている。団地の山側には、今年に入って砂防ダムが完成したばかりだったが、大雨で崩壊した。周辺の道路が冠水して孤立した集落で、住民は不安の一夜を明かした。

     「ドーン」。20年近く団地で暮らす笹口美穂さん(46)は6日夜、雷とは明らかに違う異様な音を聞いた。大雨の中、夜の避難は危ないと自宅で待機していたが、近所の人が「土砂が崩れるかもしれない。逃げよう」と声をかけてくれた。貴重品だけを持って出たが、周辺の川の氾濫などで道路が寸断されていたという。高台側に入居する住民が避難して来るよう声をかけてくれ、約20人が雑魚寝の状態で一晩過ごした。

     「団地の状態がわからず不安だった」。7日朝の光景に、笹口さんはがくぜんとした。砂防ダム下の数軒の民家が根こそぎ流され、高さが2メートルを超える岩が散乱していた。

     6日夜にテレビで広島カープの試合を見ていた北川哲也さん(53)もすぐに異変に気づいた。突然停電になり、「ドーン」「ドーン」と2回大きな音を耳にした。土砂崩れの予兆ともいわれる、草木のにおいも感じた。

     団地ではトラックの運転手が濁流の影響で、荷台に挟まれる事故も起き、消防などに救助を求めたものの「川が氾濫して行けない」と言われたという。「最近、砂防ダムができて安心しきっていた。考えが甘かった」。北川さんは唇をかんだ。

     住民らによると、団地の安否不明者には、5歳程度の幼児や男子高校生なども含まれているという。土砂が自宅の2メートル先まで迫り、7日昼まで外に出られなかったという男性(81)は言葉少なに語った。「なんと言っていいか分からない。早く見つかることを祈るしかない」【東久保逸夫】

    「絶望感しかない」 倉敷

     岡山県倉敷市では小田川左岸の堤防が決壊し、真備(まび)町地区(約8900世帯)の4分の1程度の面積が水没、市役所支所が浸水や停電で機能せず、被害状況の把握が困難になった。屋根上に取り残された人ら約450人はボートやヘリで救助された。

     同地区の女性会社員(44)は「床下に水が来てから、すごいスピードで水がたまった」と振り返る。自宅床上に浸水したのは7日午前6時。その30分後には肩くらいの高さに。外れたクローゼットの扉をボート代わりにし、体が不自由な母親(70)を乗せ、引っ張りながら必死に泳いだ。

     何とか隣家の車庫に着き、隣人に引っ張り上げてもらって隣人宅の2階へ。そこで待機し、自衛隊のボートに救助された。母親は「恐ろしかった。死を覚悟した」と漏らした。

     宮嶋玲奈さん(16)は午前8時ごろ、祖母(84)に自宅前のマンホールから下水が噴き出していることを知らされた。急いで荷造りをしたが、20分ほどで玄関に水が入ってきた。「パニックだった」と振り返る。

     太ももまで水につかりながら、事前に土手に移動させていた車に急いだ。足の不自由な祖母は父親(59)が担いでいった。近くの避難所は水につかっていたため、道に迷いながらも約7キロ離れた地区外の避難所に逃げ込んだ。「大切なものが全て水の中に沈んでしまい、絶望感しかない」と話した。【益川量平、小林一彦、竹田迅岐】

    「島の宝が…」 愛媛

     「地域のみんなが、宝のように思っていたのに……」。松山市沖の離島・怒和島(ぬわじま)の上怒和地区では、7日未明に民家が土砂にのみ込まれ、3人が犠牲に。この家に住む母親と小学3年と1年の姉妹の死亡が確認され、近所の男性(83)は声を落とした。「島の若者が減る中、3人の存在は喜びそのものだった」

     近くの女性(73)も「2人が通うのは子どもが5、6人の小学校。島のみんなが大切に思っていた」と明かす。昨秋の運動会も応援に行ったといい、「お姉さんが体操を頑張っていたのを覚えている。妹さんもしっかりお話ができるかわいらしい子だった」と振り返った。小学校の保護者会で母親と親交があったという女性(40)は、「やさしいお母さんだった。会の活動にも一生懸命な姿が印象的だったのに」と声を詰まらせた。【蒲原明佳、木島諒子】

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