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国立科学博物館

手こぎ舟で台湾-与那国島間を航海へ

軽量化した竹いかだをこぐメンバー。安定感はあるが、期待したほどスピードは出なかったという=3万年前の航海徹底再現プロジェクト提供

来夏に再挑戦 ネットで支援金募る

 日本人の祖先が約3万年前に大陸から渡ってきた航海の再現を目指す国立科学博物館は8日、当時の技術や知識だけを使った手こぎの舟で台湾-沖縄・与那国島間(直線距離で110キロ)を渡る航海を来夏に行うと発表した。丸木舟を有力候補とし、GPS(全地球測位システム)を使わない航海術など、祖先が挑んだ可能性の高い航海計画を来年3月までにまとめる。

    台湾から見た与那国島。2017年の調査で台湾・花蓮県の標高1200メートル地点から島が確認できた=3万年前の航海徹底再現プロジェクト提供

     同館などのチームは2016年、アフリカから世界に広がったホモ・サピエンス(新人=今の人類)が、日本にどうやって来たかを科学的に検証するプロジェクトを開始。シーカヤックなどの経験豊富なこぎ手が参加し、1年目は草を束ねた舟で与那国島-西表島間(75キロ)、2年目は竹を組んだいかだで台湾・台東県から離島まで(50キロ)の実験航海を行った。だが、いずれも潮に流されたり、強風や日没で断念したりと、人力で目的地までたどり着くことはできなかった。

    3万年以上前に存在していた石斧で大木を切り倒せることを実証した=3万年前の航海徹底再現プロジェクト提供

     チームによると、これまでの実験で、3ノット(時速約5.6キロ)以上の速さが出なければ、台湾-与那国島間を通る黒潮を横切るのが難しいことが分かった。竹いかだを軽量化して実験したが、速度が足りなかったため、今年はスピードを出しやすい丸木舟の製作、航行を試みる。本州では3万年前以上の遺跡で特殊な石斧(せきふ)が出土していることから、台湾などでも使っていた可能性があると仮定した。

    3万年以上前の石斧の複製品=3万年前の航海徹底再現プロジェクト提供

     昨年9月に石斧の複製品で直径1メートルのスギを伐採。今年5月にくり抜く作業を始め、9月までに舟を完成させる。作業の様子は東京都台東区の同館正面玄関で今月26日~8月6日に公開する。10月に国内で航行実験を行う。

     来年の航海本番は、夜通しこいで2~3日かかる見通しだという。プロジェクト代表の海部陽介・同館人類史研究グループ長は「舟の選定に加え、来年の本番までに黒潮の海域を理解したり夜間航行に慣れたりするなど、こぎ手の経験値も上げていきたい」と話す。

     再現航海に向け、3000万円を目標にインターネットを通じたクラウドファンディングで支援金を募る。募集期間は9月14日まで。プロジェクトや寄付の詳細はホームページ(https://readyfor.jp/projects/koukai2)。【大場あい】

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