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非核化で米朝にミゾ 6・12声明が揺れている

 何とも不安な雲行きである。

 北朝鮮を訪れて政府高官と会談したポンペオ米国務長官が「前向きな会談だった」と述べたのに対し、北朝鮮外務省は「一方的でギャングのような非核化要求」と米側を強く非難する声明を出した。

 話が全くかみあわない。が、根本的な問題は、6月12日の米朝首脳会談で「完全な非核化」に合意したにもかかわらず、北朝鮮は具体的な行動を起こそうとしないことだ。

 今回、金正恩朝鮮労働党委員長が長官と会談しなかったことも北朝鮮側の熱意の欠如を感じさせる。

 しかも米主要メディアは情報機関の分析に基づき、北朝鮮が非核化どころか核施設の拡充を進めているなどと報じている。事実なら北朝鮮は国際社会をまた欺くことになる。

 ポンペオ氏と日韓の外相が、非核化の完了まで対北朝鮮制裁を続けることで一致したのは当然である。

 確認しておこう。ボールは北朝鮮のコートにある。米国は韓国との合同軍事演習の中止を発表して非核化の環境づくりに努めた。「完全な非核化」を世界に公言した金委員長は威信にかけても約束を守るべきだ。

 ただ、米側にも気になる点がある。「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」と並んで、最近は「最終的かつ完全に検証された非核化(FFVD)」という言葉が使われるようになった。不可逆的でなくても検証できればいい、とハードルを下げたようにも映る。

 これを明らかな後退と見るかは微妙だが、北朝鮮の核廃棄が実現するか否かは日本の運命にかかわる。トランプ政権が妥協せず、なるべく早く非核化を実現するよう日本は要望し続けるべきである。

 米朝間のミゾは、首脳会談時からあったとも言える。会談を通して高揚感が目立ったトランプ大統領は帰国直後、「もう北朝鮮の核の脅威はない」と米国民に宣言した。根拠のない発言であることは明らかだ。

 また、北朝鮮は米軍と相互の「非核化」と解釈している節もあり、非核化の詳細を詰めずに共同声明を急いだことが、北朝鮮の逃げ場を作った印象はぬぐえない。声明の取りまとめを急いだトランプ氏は、脱線しかねない非核化協議を軌道に乗せるよう努める責任があるはずだ。

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