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トランプ米大統領

きょう訪欧 米欧改善の糸口見えず

EUに敵意むき出しのトランプ米大統領

 【ロンドン三沢耕平、ブリュッセル八田浩輔、ワシントン高本耕太】トランプ米大統領が打ち出す保護主義策によって米欧関係に深い亀裂が走っている。高い関税をかけ合う「貿易戦争」だけでなく、米国が離脱したイラン核合意を巡る対立も深刻化。トランプ氏は10日から欧州を訪問するが、最近は怒りの矛先を中国から欧州にシフトさせるかのような発言も続けており、関係改善の糸口は見えていない。

     トランプ氏は11日に開幕する北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する。欧州側の加盟国にとってはトランプ氏の「NATO軽視」とロシア接近に不安を抱える中での開催となる。カナダで開いた先の主要7カ国首脳会議(G7サミット)では貿易問題で米欧が激しく対立。トランプ氏との顔合わせは、「けんか別れ」に終わったそのサミット以来となる。

     欧州連合(EU)と日本は近く経済連携協定(EPA)の署名式に臨む。EUは世界最大級の自由貿易圏につながるこの協定を「保護主義に対抗する政治メッセージ」(ユンケル欧州委員長)と位置づけており、自由貿易の重要性を訴えることでトランプ氏をけん制する。

     EUは米国の鉄鋼・アルミニウム輸入制限への対抗措置として、ハーレーダビッドソンなど米共和党議員の地盤の名産品を標的に報復関税をかけている。これに対し、トランプ氏は欧州車に20%の追加関税を課す「報復がえし」を警告。貿易戦争が過熱する中、トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は加盟国に「最悪の事態に備える必要がある」と呼びかけている。

     米欧の関係悪化は貿易戦争にとどまらない。5月にイラン核合意からの離脱を表明した米国は、イランの生命線である石油の締め付けを始め、6月にはイラン産原油の輸入国に取引を停止するよう要請。石油輸出国機構(OPEC)にも圧力をかけ、サウジアラビアとの間ではイラン産原油の減少を補うために増産することで合意した。イランと取引する欧州企業への制裁も示唆している。

     一方、EUは核合意の維持に向け、全面的にイランを支援する方針。域内企業に米国の制裁に従わないよう命じる「ブロッキング規則」を準備し、米国の制裁が始まる8月にも発動する。投資銀行にもイラン投資の継続を呼びかけている。

     もっとも、EUは対米関係をこれ以上悪化させたくないのが本音で、対立回避も模索している。EUにとっての「最悪の事態」は貿易戦争が自動車まで及ぶこと。EUの対米自動車輸出は鉄鋼・アルミ輸出の約10倍で、特に自動車を基幹産業とするドイツ経済への打撃は計り知れない。メルケル独首相は5日、自動車関税を引き下げる用意があると表明した。独経済紙ハンデルスブラットによると、トランプ氏に近い米国のグレネル駐独大使はフォルクスワーゲン(VW)など自動車大手に対し、「EUが関税を撤廃すれば米国も撤廃する」と提案している。

     とはいえ関税変更には全EU加盟国の合意が必要で、トランプ氏の要求に屈する「弱腰外交」で足並みがそろう保証はない。EUは米国のロス商務長官やライトハイザー通商代表部(USTR)代表と水面下で条件闘争を続けているが、「トランプ氏にとっての貿易戦争はNATOやイランをめぐる問題でEUから譲歩を引き出すためのディール(取引)材料にすぎない」(投資銀行幹部)との見方もある。

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