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第70回毎日書道展

きょう開幕(その1) 文部科学大臣賞/会員賞紹介

 ■現代の書、新しい輝き 伝統の心、今花開く

     「現代の書」を追求する第70回毎日書道展が11日、東京都港区六本木の国立新美術館で開幕する。「現代の書」をテーマに、漢字、かな、近代詩文書、大字書、篆刻(てんこく)、刻字、前衛書の7部門にわたる日本最大の総合書展。公募部門と役員作品を合わせた今年の総出品数は3万2814点。うち会員を対象とする会員賞に32人、公募と会友が対象の毎日賞に211人、秀作賞に493人、佳作賞に986人が選ばれた。最高位の文部科学大臣賞は、鬼頭墨峻さん(77)に決まった。主な受賞作品を紹介する。(カッコ内は評者、敬称略)

     ◆文部科学大臣賞

    鬼頭墨峻(77)

     <漢字>阮籍痛哭母死(「世説新語」任誕篇より)242×61センチ

     阮籍(げんせき)は母を葬る際、豪放を装いつつも純真であった。この故事を楽しむかのように悠然と筆を運び、瀟洒(しょうしゃ)な気分を醸し出す。軽快なリズムの心地よさと、たくまざる奥ぶかさ。気負わない脱俗の境地を感じさせる優作である。(東京国立博物館学芸企画部長・富田淳)

     ◆会員賞紹介

    井上渓舟(57)

     <漢字>「十四字句」242×61センチ

     強靱(きょうじん)な筆線で貫通しながら墨の潤渇や線の太細の変化、行の流れ等細部まで意識を働かせた気力充実の優品。(神田浩山)

    岩垣若翠(64)

      <漢字>「秋夜泛舟」242×61センチ

     迷いの無い自在な運筆で、めりはりのきいた直線が爽やかに紙面を埋める。文字の大小も自然でリズミカルである。(加藤有鄰)

    大須賀三葉(72)

      <漢字>「行蔵之趣」242×61センチ

      美しい作品である。内に沈んで輝く黒、それを包む白が共鳴し、清澄な世界をつくる。格調高い風趣豊かな作。(栗崎浩一路)

    岡崎爽峰(72)

     <かな>「日輪の…」242×61センチ

     潤渇筆を程よくこなして入念に筆力をこめ、練度のある伸びやかで力強い線、堂々たる雰囲気を醸し出している。(酒井美春)

    宮沢嶺彩(64)

     <漢字>「李白詩」242×61センチ

     李白七絶詩三首を2尺×8尺の四行書として実に見事にまとめ上げた。要白の美しさ、軽快な線条、墨の潤渇の配分、文字の大小など。(中村雲龍)

    藤居孝弘(53)

     <漢字>「萬鍾之蔵」242×61センチ

     マグマがむくむくと盛り上がるごとく悠然とし、しかも目を輝かせながら正面を見、たくましく胸を張っている。(室井玄聳)

    登里恵月(56)

     <漢字>「竹影」242×61センチ

     側筆を主体としながら鋭意の運筆。気持ちが徐々に高揚し、気迫を外にあらわすたくましさが最後まで貫通した。(片岡重和)

    二瓶祥舟(54)

     <漢字>「送羅萬峯」242×61センチ

      軽妙な運筆による快いリズム感がすばらしい。文字の大小、書線の太細、墨の潤渇への配慮も行き届いている。(大森哲)

    鈴木青華(65)

     <漢字>「舒位詩」242×61センチ

     墨の濃淡、潤渇を駆使し、繊細に表現している。行間、字間の疎密が素晴らしく、多字数の神髄を極めた快作。(廣野梨川)

    鈴木孔聲(46)

     <漢字>「探驪獲珠」242×61センチ

     規模大きく、線条厳しい構築性の強い作である。圧倒的迫力にあふれた力作で見事です。(堀吉光)

    勝沼玄象(53)

     <漢字>「一向寒山坐」242×61センチ

     文字の造形・潤渇に書法を駆使した上で、明るく、現代性にあふれ、多字数の概念を一変したと言っても過言ではない。(秋山洋子)

    荻野静雲(78)

     <漢字>「七哀詩」242×61センチ

     行が適度にうねり、行間もそれに呼応していて美しい。全体的に立体感があり、気脈一貫した書きぶりは見事。(増子哲舟)

    長谷川玉莉(78)

     <かな>「花すすき」242×61センチ

     さまざまな筆法を駆使した気脈貫通の良き流れは余白の美しさが際立ち、構成の妙、誠に秀逸なり。(勝野玉敍)

    九條純代(53)

     <かな>「漁りせし」61×242センチ

     紙面を軽快に、あるいは深く沈潜するように思いがあふれるかのような躍動する変幻自在な筆の動きに魅せられる。(松井玉箏)

    古川司邦(74)

     <かな>「秋に思う花橘の香」61×242センチ

     穏やかで優しさあふれる作。連綿の活達、文字の大小、一字一字の字姿に思いの込められた表情豊かな作です。(棧敷東石)

    村上翔香(62)

     <かな>「雪残る」242×61センチ

     歌意を十分感じながらの構成で墨色にもその気遣いを感じる。2行目の渇筆は1行目を意識し美しくまとめた作。(楢原萠春)

    伊藤清子(51)

     <近代詩文書>「森川勧の句」242×61センチ

     「阿修羅」が見る人を引きつける。よく鍛錬された線は激しくも温かく美しい。中心部の余白が効果的な快作。(井之上南岳)


    会員賞受賞者

     <漢字>井上渓舟(山形県大石田町)岩垣若翠(鳥取県北栄町)大須賀三葉(横浜市)荻野静雲(埼玉県川口市)勝沼玄象(同川越市)鈴木孔聲(横浜市)鈴木青華(浜松市)二瓶祥舟(横浜市)登里恵月(東大阪市)藤居孝弘(大津市)宮沢嶺彩(新潟県十日町市)

     <かな>岡崎爽峰(東京都品川区)九條純代(前橋市)長谷川玉莉(千葉県柏市)古川司邦(東京都練馬区)村上翔香(同中野区)

     <近代詩文書>伊藤清子(秋田県由利本荘市)大木明子(横浜市)大津桂花(徳島市)帯向芳園(東京都墨田区)今野冲岳(北海道旭川市)澁谷鳴風(岐阜県各務原市)高橋空谷(大分県別府市)

     <大字書>簡恵美(北九州市)杉山功(静岡市)星野青龍(群馬県沼田市)

     <篆刻>安部華慧(大分市)

     <刻字>安藤尤京(愛知県豊田市)薄田龍元(新潟市)

     <前衛書>小川雅山(長崎県南島原市)谷酒恵秋(神奈川県平塚市)柳橋香仙(千葉県成田市)


    記念すべき70回展をともに 実行委員長・石飛博光氏

     70回記念展を迎えました。その間、いろいろなことがありましたが、先人たちの努力と情熱をもって今日を迎えることができたことを喜びたいと思います。先達たちがのこしてくれた業績を探り、現代書の源流を見つめる絶好の機会といえます。そのために記念とする企画事業を四つそろえています。

     (1)「墨魂の昴(すばる)-近代書道の人々」と題して明治・大正・昭和の終戦までを一区切りとして活躍された書人・文人など64人の書作品を広く集め展示します。(2)全国10カ所で記念巡回展を開催。(3)功労者の表彰。(4)70年史をまとめ資料として収録します。これらは選ばれた役員を中心に十分時間をかけて準備が進められてきております。

     伝統の確かさから多くを学び、変化して動く情勢の中から新しい輝きを求め、個としての活動を尊重し、和をもって書の文化を大事に育ててゆくことが、今最も求められている時であると思います。

     共感、共有、共和、共同、そして共奏……。

     70回展記念の事業を、同志一体となって盛り上げていきたいものです。

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