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西日本豪雨

復旧妨げる泥と水 高齢者、多難な片付け

床上浸水した自宅の片付けをする山下文子さん=愛媛県大洲市徳森で9日午後1時57分

 肱川(ひじかわ)の氾濫により少なくとも3000世帯が床上浸水した愛媛県大洲市。水浸しになった家財道具を片付ける作業が本格化しているが、高齢者や女性だけの単身世帯では重い家財道具を運び出せないケースもある。市社会福祉協議会は10日、災害ボランティアセンターを開設し、県内や近県からのボランティア募集を始めた。

     床上浸水して家中が泥だらけになった同市徳森の山下文子さん(77)方には9日昼過ぎ、入院している夫の友人で80代の男性が手伝いに駆けつけた。しかし、断水のため泥を洗い流すことができず、汚れた食器棚は動かせないままだ。「助けてもらって朝からやっても片付かない。せっかく助かったが、家電を買い直すのにいくらかかるんだろう」とため息を漏らした。

     山下さんは降雨が激しくなった7日午後、一度公民館に避難したが、愛犬クロが心配になり自宅に戻った。すぐに水位は急上昇を始め、爪先立ちでようやく息ができるほどに。溺れる寸前、消防のボートで救助された。「身動きが取れず、寒くて唇が震えた」。クロも救助されたが、その後の混乱ではぐれてしまったという。

     近くの市営住宅で1人で暮らす山本仁美さん(58)方も床上浸水で、タンスなどが水につかった。手話通訳の活動をまとめたスクラップや本も水にぬれて台無しに。タンスは開かず衣服が取り出せない。「水を含んだ畳は1人では片付けられない。誰かの助けがなければどうにもできない」と途方に暮れていた。【片平知宏】

    高校球児、地元に恩返し

     5人が死亡した愛媛県西予市野村町では10日、地元の県立野村高野球部員が浸水した家の片付けや物資の運搬などを手伝った。夏の愛媛大会(12日開幕)が直前に迫っているが、「普段とてもお世話になっている方々。何か役に立ちたくて」と自然に体が動いた。

     被害が大きかった地区は野村高から1キロほど。試合がある時は、球場まで来て応援してくれる住民も多い。

     入船梓主将(3年)は後輩の家が浸水被害に遭ったこともあり、母の車に乗せてもらい、自宅から1時間ほどかけて駆け付けた。「平和な町だったのに」と衝撃を受けたが、同級生3人と片付けに汗を流した。

     大会直前の災害に「なぜ今なのか」と悔しい気持ちはあるが、「つらい思いをした人がたくさんいる。勝つことが恩返しになる」とも思う。地元を勇気づけるため、13日の初戦に臨む。【中川祐一】

    がれき撤去、破傷風に注意 猛暑続き熱中症や夏風邪も

     被災地では、浸水被害によるがれき撤去などで破傷風などのリスクが増す。猛暑のため避難所を含めた熱中症や夏風邪への警戒も必要で、国や専門家は注意を呼びかけている。

     洪水後のがれき撤去や浸水した自宅の後片付けの際には、普段は土の中にいる破傷風菌や肺炎の症状を引き起こすレジオネラ菌への注意が必要となる。手足に傷を負ったり、土ぼこりを吸い込んだりすることで感染する。日本環境感染学会に所属する、東北大学医学部の吉田真紀子助教(感染症疫学)は「片付けの際はマスクと厚底の長靴、厚い手袋を着用してほしい」と話す。

     猛暑の中での避難所生活も感染症のリスクを高める。普段より衛生状況が悪くなる上、人が密集しているため、同学会は、下痢や嘔吐(おうと)が広がらないよう、トイレ後の手洗いの徹底や、タオル共有の禁止を呼びかけている。手足口病や咽頭(いんとう)結膜熱、ヘルパンギーナなど普段の夏風邪も、避難所では拡大しやすい。マスク着用を呼びかけている。

     猛暑が続いていても、避難所や被災した自宅は、エアコンや扇風機が使えないことも多い。また「避難所になる体育館は高温多湿になりやすい」と日本福祉大の山本克彦准教授(災害ソーシャルワーク)は注意を促す。こまめにスポーツドリンクを飲むことや風通しのよい場所で休むことがポイントだ。

     厚生労働省は、衛生面の注意点をまとめた啓発パンフレットを避難所に配布し、被災者のニーズを把握するため専任チームも派遣する。【熊谷豪、原田啓之】


    豪雨後の被災地での注意点

    ・破傷風は傷口の汚染から起きる。がれき撤去などの作業時には、丈夫な靴や手袋を身につける

    ・レジオネラ菌は土木作業で巻き上がった土ぼこりを吸い込むと感染するため、防塵(ぼうじん)マスクを着用する。

    ・被災地支援に行く場合は、必要に応じて、破傷風などのワクチン接種を受ける

    ・夏風邪が広がらないよう、くしゃみやせきがある時はマスクをする

    ・夏は食あたりが多い。暑いところに放置された食事は控え、食事前には必ず手洗いをする

     ※日本環境感染学会の資料から作成

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