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西日本豪雨

「無念…」水害の危険訴え続けた旧真備町議

避難者におにぎりを配る黒瀬正典さん(右)=岡山県倉敷市真備町地区で2018年7月9日午後8時10分、信田真由美撮影

河川の改良工事求め続け、実現しようとした矢先に…

 岡山県倉敷市真備(まび)町地区で起きた水害に、やるせない思いを抱く住民がいる。合併前の旧真備町議を務めた黒瀬正典さん(64)。地区は過去に何度も河川の氾濫に見舞われた。町議時代に河川の改良工事を求め続け、それが実現しようとした矢先に起きた今回の水害。今、避難所のボランティアとして、古里のために再び力を尽くしている。

     「おにぎりはいくつでも持って行って」。一時2000人以上が避難した市立岡田小学校の体育館。疲労が目立つ被災者に声を掛ける黒瀬さんの姿があった。「もっと早く河川工事が始まっていれば--」。その思いが心から離れない。

     1級河川・高梁川と支流の小田川に囲まれた真備町地区は、洪水に繰り返し悩まされてきた。1972年には流域の住宅約7300戸に浸水。227戸が全半壊し、死者・行方不明者は15人に上った。黒瀬さんは当時高校生。「自宅は被害を免れたが、多くの友人らが被災した。旧国鉄のバスが1週間近く運行中止となり、学校にも通えなくなった」と振り返る。

     住民は半世紀にわたり、水害の原因となる高梁川と小田川の合流地点を下流部に付け替えるよう改修工事を国に要望してきた。2000年に町議になった黒瀬さんも活動に加わった。ただ、県は長年、地元の意見をまとめられず、工事計画はこう着状態になった。

     まずは住民の防災意識を高めようと、黒瀬さんは地元の「岡田地区まちづくり推進協議会」のメンバーとともに4年前から避難訓練を始めた。年に1回、約100人が参加し、自宅から避難所への経路を点検してもらった。

     一方、懸案だった河川改修はようやく正式に決定。合流点を約5キロ下流に移し、流れをスムーズにする工事が来年度に始まる予定だった。しかし、故郷は再び濁流にのみこまれた。

     黒瀬さんが避難所の岡田小学校に駆け付けた際、駐車場は入りきれないほどの車でごった返していた。食事も足りず、近くの農家から米を分けてもらい、協議会の仲間とおにぎり1000個を握って提供した。黒瀬さんはその後も連日、ボランティアの受け入れ調整や救援物資の仕分けなどに汗を流している。

     「水害で町を離れる人が出るのが一番悲しい。地域が一つになり、助け合って乗り越えていきたい」【信田真由美】

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