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西日本豪雨

「警官とは」教えてくれた 土砂崩れで殉職

土砂に覆われた住宅地で捜索をする警察官ら=広島県坂町で2018年7月11日午前9時15分、本社ヘリから小出洋平撮影

 西日本豪雨では、災害対応に当たろうとした警察官も犠牲になった。広島県警東広島署の藤岡司警視(58)=警部補から2階級特進=は6日夜、非常招集を受けて署に自家用車で向かう途中に被災し、川に転落して殉職した。上司らは「彼の遺志を継いで署員が一丸となり、この災害を乗り切っていきたい」と話す。

 「招集かかったから行くけん」。6日午後8時40分に招集がかかると、藤岡警視はそう言い残し、東広島市内の自宅を出た。

 親族の男性(49)によると、藤岡警視の妻(47)は出発時に声をかけられなかったのが心残りで、午後9時ごろ電話した。藤岡警視は同市安芸津町三津の蚊無(かなし)トンネル付近で土砂崩れに巻き込まれたとみられ、「車何台かが巻き込まれた。助けてくれ、119番してくれ」と言われた。妻が通報後に再び電話すると、「ゴー」「ザー」という土砂崩れの音しか聞こえなかった。もう一度かけると、「電源が入っていない」とするアナウンスが流れるだけだった。付近では他にも3台が濁流にのまれ、8日に藤岡警視の遺体が川岸で見つかった。

 「早く発見していただき、ありがとうございました。皆さん大変でしょうが頑張ってください」。来署した妻は気丈に振る舞ったという。

 通夜の前、ひつぎに眠る藤岡警視の顔を見た男性は「土砂に埋もれてどれほどつらかっただろう」と祭壇にビールを供えた。通夜や葬儀に署員らが数多く駆けつけ、「警察官とは何かを一から教えてもらった」と言われたのが誇らしかった。

 東広島署によると、藤岡警視は昨年4月に竹原署から赴任。刑事畑などを歩き、部下のミスも温厚に指導することで知られ、若い署員には「お父さん」のような存在だった。東広島署の益田泰伸次長(59)は「遺体を見た時は同じ仲間としてつらかったが、署員も災害対応に当たる決意を強くした。彼の死を無駄にしたくない」と話した。【土江洋範】

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