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社説

来年度予算の要求基準 膨張のすすめではないか

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 来年度から新しい財政健全化計画が始まるとは到底思えぬ内容だ。

     政府は来年度予算の編成にあたって、各省庁が財務省に予算を要求する基準を決めた。編成の方向性を示す重要なスタートラインである。

     来年10月には消費増税も予定している。国民に負担を求めるからには無駄の排除を徹底する必要がある。それなのに今回の基準は、財政規律を緩みっぱなしにしている。

     象徴的なのは、歳出総額の上限を示さなかったことだ。現政権が発足してから6年連続である。

     基準は本来、予算膨張に歯止めをかけるものだ。過去には天井を意味する「シーリング」と呼ばれ、健全化に一定の役割を果たしてきた。

     だが安倍晋三首相は痛みを伴う歳出抑制を素通りし経済成長による税収増に頼ってきた。結局税収が伸び悩んで借金漬けは変わらず、健全化計画の見直しを余儀なくされた。

     大事なのは歳出抑制である。それがはっきりしただけに、基準の重要性も増しているはずだ。

     にもかかわらず首相は依然として税収増を当て込んでいる。来年度予算の要求総額は5年連続で100兆円の大台を突破しそうだ。これでは膨張を勧めているかのようだ。

     なかでも高齢化に伴って膨らみ続ける社会保障費の抑制が焦点なのに肝心の数値目標がない。できるだけ抑えないと、将来世代への借金のつけ回しが増えるばかりである。

     さらに懸念されるのは、消費増税時の景気対策について、既存の経費と別枠で検討すると決めたことだ。これも上限のない「青天井」だ。

     来年の参院選を控え、大規模な対策にお墨付きを与えるようなものだ。そもそも増税による税収は借金返済に回すのが筋である。ばらまきに使うのなら本末転倒だ。

     しかも政府が最近示した来年度の成長率見通しは、景気対策を織り込まなくても民間シンクタンクの予測を上回っている。それほど自信があるのなら財政出動は不要だろう。

     西日本の豪雨は防災の大切さを改めて認識させた。とはいえ公共事業の安易な拡大は禁物だ。予算全体に思い切っためりはりを利かせる必要性は一段と高まっている。

     年末の編成に向け、首相は歳出改革に本腰を入れるべきだ。

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