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大竹文雄・評 『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』=伊神満・著

 (日経BP社・1944円)

 「奢(おご)れる者久しからず、ただ春の夜の夢のごとし」という軍記物語の冒頭の一節から本書は始まる。この本は、没落企業や衰退産業で溢(あふ)れかえったビジネスの世界を経済学の最先端の道具を駆使してエール大学の若手経済学者が解明していく物語だ。

 ライトノベルのような文章で難しい数式や表現はなく、とても読みやすい。直感的に理解しやすいように、実例をうまく使っている。経済学の本としては、今までにない新感覚の本だ。しかし、中身は信頼できる。本書は、著者の伊神氏がエール大学経済学部で教えている「イノベーション(技術革新)の経済学」という授業の内容と経済学のトップ学術誌に掲載された著者の論文をもとに書かれているのだ。高度な話をここまでわかりやすく、一般の人に伝えられるというのは驚きだ。第一線の若手研究者が、最前線の経済学研究の面白さを伝えることに成功することの意味は大きい。一般の人が最新の経済学研究の内容を知ることで、得られるものがとても多いからだ。

 かつて栄華を誇った企業が倒産したり、買収されたりする一方で、新しい企業が成長していく。その背後には、新しい技術の導入によって、古い技術が廃れていくことがある。このような技術革新や新規参入により旧来の技術や企業が廃れていくことを「創造的破壊」と呼ぶ。

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