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若島正・評 『優雅な読書が最高の復讐である』=山崎まどか・著

 (DUBOOKS・2376円)

書きぶり爽快さが心地よい

 今から十四年前のこと。それまで名前を知らなかった、山崎まどかというライターが書いた、『ブック・イン・ピンク』という本をたまたま書店で手に取った。たまたま、と書いたが、もちろんまったくの偶然ではなく、「おしゃれ古本ガイド」という副題に興味を惹(ひ)かれたのがその理由である。古本というものは、本来「おしゃれ」なものではない。古本が趣味になると、必然的に、古本マニア、古本コレクターへと続くけもの道が待っている。そうなれば、世間の動向には疎くなり、「おしゃれ」とはおよそ縁遠い。ところが、実際に『ブック・イン・ピンク』を読んでみたら、額面どおりに「おしゃれ」な本だったのでびっくりした。そこで集められている本も、リストにして書き出せば、明らかにマニアの鑑識眼を持つ人間が選んだものとわかる。しかしその記述は、暑苦しいマニア臭を感じさせず、むしろ爽やかな風が小さな本棚を吹き抜けているような印象を与えるのだ。わたしはそのチャーミングなレトロ趣味に、すっかり感心してしまい、古本屋のカートで思いがけない一冊を引き当てたような気分になったことを憶(おぼ)えている。今ふりかえってみても、『ブック・イン・ピンク』は小さな名著と言ってよく、すでに「ヴィンテージ古本」の地位を獲得しているのではないか。

 それから十四年。ブックガイドとしては第二作に当たるこの『優雅な読書が最高の復讐である』を読んでみて…

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