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社説

人口を考える 地方自治の将来 市町村とは何か、再定義を

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 人口減少は、地方自治の将来も大きく変えていく。

 当然のように思われてきた公的な機能やサービスを多くの市町村が単独では担いきれなくなる。自治体は役割の再定義を迫られている。

 公立小学校の統廃合が全国で進んでいる。北海道空知地区にある人口約1万1000人の長沼町は、現在五つある町内の小学校を再来年春にひとつに統合することを決めた。

フルセット主義に限界

 町の推計では、現在約500人の児童数は6年後に約400人に減る。住民からは反対の声も起きたが「このままではグループ別学習や集団活動に対応できない」と判断した。

 さらに踏み込んだ未来図がある。

 東洋大学の根本祐二教授は全国の小学校が2050年ごろにどう統廃合されるかを試算した。児童数が今より3割減る想定に基づいたものだ。その結果、1学校18学級を標準にした場合、現在約2万ある小学校は約3分の1の6500に減る。

 しかも、約850の市町村は単独で小学校を置かず、近隣の自治体と協力して小学校を運営することになる。つまり、学校を区域内に持たない自治体も出てくる。

 小学校教育は市町村が独力で担うという常識が通用しなくなる試算だ。根本氏は「適切な規模の学校で教育するためにも、計画的に統廃合を進めるべきだ」と強調する。 

 全国市町村の半数に「消滅」の可能性があるという増田寛也元総務相らのリポートが波紋を広げたのは4年前だ。人口減少への警鐘だったが、安倍内閣は地方創生を掲げ、地方の活性化策にすり替えた。このため、人口減少を前提としたビジョンを描く作業は立ち遅れている。

 政府の推計によると、人口1万人未満の市町村のうち、約8割が40年までに人口が3割以上減る。人口減は需要減につながり、水道など生活に必須な事業が維持しにくくなる。

 日本の地方自治は都道府県、市町村による「2層制」だ。市町村は何度かの大合併で約1700に減ったが、基本構造は変わらない。

 人口減に備え、さらに合併を進めるべきだとの意見がある。だが、「平成の大合併」に同調しなかった自治体を強制合併させれば、住民の反対など深刻なひずみを生むだろう。

 市町村がフルセットで公的機能を備える発想に限界がある以上、隣り合う市町村が「圏域」を作り、中心となる都市に機能を集約するのが現実的だ。都道府県は町村の仕事の多くを代行することになる。これまでの都道府県、市町村の固定的な役割を見直さざるを得ない。

 まちづくりも発想の転換が求められる。

 開発重視で宅地を広げたかつての行政とは逆に「住まない地域」を決め、「住める地域」に市街を集めていく必要がある。

住民自身の気概が必要

 住民の移動を伴うだけに、ていねいで息の長い取り組みが欠かせない。富山市の場合、路面電車が拠点となる複数の市街地を結びながら走る「団子と串」という発想で、都市計画を進めている。

 北海道夕張市はかつての炭鉱住宅で分散していた住宅街の集約を進めている。高齢者らを説得していく20年がかりのプランだ。

 人がいなくなった地域をゴーストタウン化せず、どう生かしていくかも新たな課題となる。

 空き地、空き家が増え都市が空洞化すると、治安や防災面の脅威となる。だが、放棄された土地建物の権利関係を確定して再生しようとすると、膨大な時間とコストを要する。

 米国では、非営利組織が簡易な手続きで土地を管理し、再利用する「ランドバンク」という仕組みが成果を上げている。日本でも公的な機関が「かつての街」を再生できる仕組みを検討する必要がある。

 自治体は地域の共同体から形づくられる。住民自らが地域の未来像を決めるのが地方自治だ。だが、残念ながら、日本の自治は住民が行政に依存する意識が強く、主体的に議論に関わってきたとはいえまい。

 人口減少に向き合うことは、痛みを伴う。首長や地方議会は現実を住民に率直に説明し、理解を得ていく努力がいっそう求められる。

 そして住民は、新しいまちをつくる気概を今こそ共有すべきだ。広がり続けた市街を、緑地や公園が豊かで、一定のエリアに集住する都市に変えていく。決して、後ろ向きな作業ではないはずだ。

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