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余録

「ある国の資本の発展がカジノ的行動の副産物であるとすれば…

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 「ある国の資本の発展がカジノ的行動の副産物であるとすれば、その発展は失敗に帰すだろう」。20世紀を代表する経済学者、ケインズは言う。むろん「カジノ的行動」とはギャンブルじみた経済行動のことである▲だが、その世紀末には国際金融取引そのものが賭博場のような投機的様相をあらわにし、「カジノ資本主義」などという評言がまかり通るはめになった。モノやサービスの実体経済とはかけ離れた金融取引が世界経済を揺り動かした▲さて、こちらは文字通りのカジノによる経済発展の皮算用である。国内にカジノを開設して外国人客を呼び込み、地域振興をはかるという筋書きだ。カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案がきょうにも成立の見通しとなった▲ただでさえ世論調査で反対の多いカジノ開設である。参院委の審議は西日本豪雨災害と重なり、野党の「カジノより災害対応を」との抵抗を押し切っての採決だった。政府・与党にすれば少々の悪評は覚悟の上の「カジノ的行動」か▲実施法が成立すれば、国内3カ所のIRの立地選びとなる。海外でのカジノの失敗例も聞こえる中、さて外国人は本当に集まるのか。目算通りに地域は潤うのか。何よりギャンブル依存症をはじめ、負の社会的影響を抑え込めるのか▲「自らの能力への過大なうぬぼれと、未来に対するばかげた夢想」。近代経済学の祖、アダム・スミスは人がギャンブルに走る動機をこう見た。経済成長をカジノに託す賭けも、そうでなければ幸いだ。

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