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社説

カジノ法案が成立へ 賭博に頼る発想の貧しさ

 カジノを解禁する統合型リゾート(IR)実施法案が、参院内閣委員会で可決された。きょうにも成立する見通しだ。

     西日本を襲った豪雨により被災地の支援が急がれる中での法案審議だった。猛暑の中、今も多くの被災者が避難生活を送っている。復旧を進めるために何が必要か。政府も国会もそこに神経を集中すべきときだ。

     ところが、貴重な時間の多くがカジノ法案の審議に割かれ、道路や河川の災害復興を所管する石井啓一国土交通相が答弁に追われた。もともと、通常国会で成立を急ぐ理由に乏しい法案だ。こうした政治の姿が国民の目にどう映っただろうか。

     この法案のそもそもの問題点は、地域の振興のためには、カジノ、つまり賭博を解禁することが必要だと考える発想の貧困さにある。

     政府は、カジノが成長戦略の目玉となり、インバウンド(外国人観光客)の増加や地域振興に役立つと説明し続けた。

     昨年日本を訪れた外国人観光客は2800万人を超え、過去最高を更新した。ここ数年、飛躍的に伸びている。観光庁などの調査によると、日本観光への期待は、「日本食を食べること」「ショッピング」「自然・景勝地の観光」などだ。

     さらには、丁寧なものづくりや最先端と伝統が共存する文化なども日本の魅力として認識されているという。私たち日本人ですら気づかないような山あいのスポットがネットなどで評判になり、多くの外国人が訪れるようなケースは珍しくない。

     これだけの観光資源がありながら、カジノに地域おこしを委ねようというのではあまりに安直すぎる。韓国などの例を見ても、カジノが設置された町は、借金で自殺者が増加するなどしてすさんでいる。地域に与える負の影響の方がはるかに懸念される。地域振興策として、効果を上げるとは思えない。

     今後、誘致に向けた動きが本格化する。大阪や北海道など複数の自治体が手を挙げている。

     カジノ設置のメリットだけに目を向けるのではなく、デメリットについても改めて冷静に判断するよう自治体には求める。誘致に反対する住民も少なくないはずだ。そうした声にも耳を傾ける必要がある。

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