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サンデー毎日発

こう変わる! 2019年大学入試 

立命館大茨木キャンパス

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数字では測りにくい「力」がますます求められる時代に

 受験生に影響がある大学の改革は入試と学部・学科新設。来春は「学力の3要素」を重視した入試の改革が進み、学部はグローバル系が数多くできる。いずれも、これからの時代に求められる人材養成がキーワードになっている。

     2021年からの大学入学共通テスト実施など、文部科学省が進める大学入試改革をなぞるように、個別大学の改革が進んでいる。

     大学入試改革は、単なる暗記した知識の再生に陥らないよう、(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力(3)主体性をもって他者と協働して学ぶ態度-を「学力の3要素」として位置づけ、バランスよく見ることを目的とする。

     (1)はこれまでの大学入試でも問われていた。(2)に関しては記述式問題などの導入が進む。(1)と(2)はペーパーテストで評価可能だが、(3)の「主体性」については、高校時代の活動歴などを面接や調査書によって評価することが必要で、多くの受験生が出願する一般入試で問うのは難しい。そこで増えているのが、推薦やAO入試。代々木ゼミナール教育総合研究所の主幹研究員、坂口幸世さんは言う。

     「国立大学協会は、21年度までに推薦やAOでの入学者を定員の3割に増やすとしています。そこには、クラブや生徒会活動など、課外活動で培われた主体性を評価するという意図もあるのでしょう」

     国立大では、推薦やAO入試を導入・拡大するケースが増えている。東北大は法でAO入試2期、文と理でAO入試3期を導入する。もともとAO入試の定員が多い同大の募集枠がさらに拡大する。また神戸大がAO方式で「神戸大学『志』特別入試」を始める。センター試験は課さず、評定平均値や個別試験で学力を担保した上で、面接や小論文、プレゼンテーションなどで選抜する入試だ。秋田大や山形大、徳島大、香川大、長崎大、大阪市立大などで、AOもしくは推薦入試を導入する学部がある。

     私立大では、早稲田大が地域貢献の意欲のある受験生を学力型AO入試で獲得する「新思考入試(地域連携型)」を実施している。19年度は現在の文や商など5学部に法が加わる。東海大の医は、クラブ活動や課外活動を評価するAO入試を実施する。

     一般入試での主体性評価も始まった。今春、関西学院大教育学部の初等教育学専攻が一般入試で日本初の「主体性評価方式」を導入。リーダーシップに関する取り組みを評価する。早稲田大は21年から、ウェブ出願時に「主体性」「多様性」「協調性」に関する記入が必須になる。当初は合否に関係ないが、調査書が電子化された時点で点数化を検討する。これからは一般入試でも主体性を測る方向に進むことは間違いなさそうだ。

     ちなみに、早稲田大・政治経済の一般入試では、21年から日本語と英語の両言語による長文を読んで解答する学部独自入試と英語の民間試験、さらに大学入学共通テストの成績を合算して選抜する。大学入学共通テストで数学1・Aが必須となり、一般的な私立文系型の受験生は受けにくくなる。

     このように文系学部で理系科目を課すケースや、反対に理系学部で国語や地歴を課す動きは、センター試験を活用する来春入試でも増加傾向。立教大が6科目型を導入し、龍谷大は法学部の中期で4科目型を実施。関西大のシステム理工学部は前期で5科目型を行う。こうした入試が増える背景について、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんが説明する。

     「数学的な考え方や国語力を持った学生は入学後の伸びしろが大きいものです。18歳人口が減少して志願者数が増えにくい中、学生の質を上げたいと考えているのでしょう。AIがいくら発達しても、数学と国語の力は必要です。こうした力は現代の“読み書き算盤(そろばん)”であり、原点回帰といえます」

    ますます加速される英語「4技能」の重視

     待ったなしのグローバル化。さらに大学入学共通テストの英語で民間試験の活用が決まったこともあり、来春も「読む、書く、聞く、話す」といった4技能を民間試験で見る大学が増える。さらに、独自試験のハードルを上げる大学もある。東京外国語大は、来春新設予定の国際日本の前期日程で、コンピューターを活用したスピーキングテストを実施する。従来から「話す」以外の3技能評価を実施していた同大だが、自前で4技能を見ることになる。

     「高校3年生のうち、どの程度が十分なスピーキングの授業を受けているのか疑問です。現時点では、英語の4技能の取得に力を入れている高校や、留学経験がある受験生でなければ、スピーキングで良い点を取るのは難しいと思います」(代ゼミの坂口さん)

     英語重視の入試としては、昭和女子大が国際でリスニングテストを拡大し、龍谷大の国際は500点満点中、英語の配点を400点とする独自方式を実施する。

     学部改革に注目すると、グローバル化の流れから、ここ数年のトレンドである、国際系学部の新設が続く。中央大は、26年ぶりの新設学部となる国際経営を設置予定で、津田塾大は学芸学部に多文化・国際協力学科を新設予定だ。立命館大は、学部生全員がオーストラリア国立大に留学し、4年間で2大学の学位を取得するグローバル教養を開設する。学部生全員が海外大学と国内大学の二つの学位取得を目指すのは、日本の大学では初めての取り組みだ。代ゼミの坂口さんは言う。

     「海外大学の学位が同時に取れるのは、一定数いる海外志向の強い受験生に注目されるでしょう」

     グローバル系学部の新設が進む一方、1982年に他大学に先駆けて国際政治経済を開設するなど、グローバル人材の養成に力を入れてきた青山学院大は、日本の地域に立ち位置を置くコミュニティ人間科を新設予定だ。教育学と社会学をベースとする学部で、少人数の演習や日本各地における調査実習などを通し、地域で活躍できる人材養成を目標としている。

     知識や技能、思考力などとともに主体性を見るのは、先行きが不透明な社会を自ら切り開いていく力を身につけてほしいというメッセージ。新設予定の学部も、これから求められる人材像から逆算したものが多い。大学改革は、日本の行く末を決める人材育成のためともいえる。その成果を大学生になった受験生が享受し、日本社会に還元されると期待したい。【大学通信・井沢 秀】

    *週刊「サンデー毎日」2018年7月8日号より転載。この特集には「2019年度入試 主な大学の学部学科改組・入試変更点」の表があります。そちらは実際の誌面で確認してください。

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