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社説

政府の公文書管理改革 形式の整備では不十分だ

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 森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざん事件などを受け、政府が再発防止策をまとめた。

     求められているのは、あらゆる文書を公文書として、きちんと保存する体制を作った上で、二度と改ざんを起こさせないようにすることだ。

     これに対し政府が示したのは、電子決裁システムへの移行で改ざんした際は痕跡が残るようにすることと、内閣府や各省庁に公文書管理を監視するポストや組織を設け、管理体制や研修を強化する対応だ。

     だが、省庁が恣意(しい)的に公文書の範囲を決めている現状では、内容の乏しい文書だけが残され、電子決裁を進めても効果がない。

     監視ポストを設けても膨大な量の公文書をチェックするのは難しく改ざんを防止する保証にはならない。

     文書改ざんなど悪質な行為には、免職など重い懲戒処分を科すという。人事制度を厳しくすることで一定の抑止効果はあるかもしれない。

     だが一方で、公文書管理法の改正や刑事罰の新設は見送った。財務省の決裁文書改ざんでは大阪地検が佐川宣寿前国税庁長官を不起訴とした。改ざん文書で1年間国会を欺いた重大さを考えれば、刑事罰の適用について引き続き議論すべきだ。

     これらの点を考えると安倍政権は形式的な対策で問題の幕引きを図ろうとしていると思わざるを得ない。

     残された課題には、メールなどの電子的な文書の扱いもある。

     政府内では、情報共有や連絡にメールが使われる。行政文書になりうるが、大半が廃棄されている。

     今回の防止策では、省庁で共有するメールの選別・保存の支援などにとどまっている。米国の多くの政府機関では、幹部が送受信するメールは全て自動的に保存される仕組みになっている。メール保存のルール作りに本腰を入れるべきだ。

     官僚が正確な記録を残して公開することで、国民は行政機関の仕事を点検できる。民主主義の根幹であり、公文書管理法の理念でもある。

     制度や人事で官僚を締め付けても法の精神の実現には限界がある。

     意識改革とともに、業務上作った文書はすべて公文書とする。省庁の裁量で決めているメールや文書の保存期間も見直す。そうした本質に迫る改善策に踏み込むべきだ。

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