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華恵の本と私の物語

/24 チキン!

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 ドッジボールはわりと得意とくいほうだ。外野がいやにボールがまわった。まずは、あしおそいさゆりちゃんがねらわれるだろう。あ、さゆりちゃんの真後まうしろにボールがいった!

     つぎ瞬間しゅんかん、わたしのあしがしびれた。まさか……足元あしもとに、ボールがころがっている。

     油断ゆだんした。

     「とっちめたぞ、ガイジン!」とこえた。

     村井君むらいくんだ。

     いつものことなのに、なにむねっかかった。

     村井君むらいくんは「ガイジン!」とってくるけど、いじわるではない。ドッジボールにさそってくれるし、男子だんしとふざけてるときみたいに、さくに冗談じょうだんってくる。ガイジンってばないで、なんてえない。

     そのかえり。教室きょうしつると、村井君むらいくん姿すがたえた。

     「ねぇ、村井むらい

     無意識むいしきこえをかけていた。

     「なに?」。村井君むらいくんがこちらをいてしまった。なんておう……。

     「あのさ……なんでいつもおまえは、ガイジンってってくるわけよぅ!」

     ふざけた口調くちょうで、すこ乱暴らんぼうってみた。すると、

     「え? だってハナエがいつもってるじゃん。日本語難にほんごむずかしいって。ガイジンってわれたくないなら、もうあんなことうなよ」

     あんぐりくちをあけてしまった。わたしが、いつ、そんなことを……でも、記憶きおくをたどると、おもたるふしはあった。おこったときや、すっごくうれしいときに、なにかを間違まちがえることがある。そのさい、ごまかすように「ニッポンゴ、ムズカシイ」とふざけている。

     なんでそうっていたのか、自分じぶんでもわからない。でも、さきかべつくっていたのは、わたしのほうだった。

     「……もうわない。そのかわり、あんたはもう、ガイジンってうな!」

     とわたしがうと

     「おう、約束やくそくな!」と村井君むらいくんわらった。

      + + + + 

     『チキン!』にてくる転校生てんこうせい真中まなかさんは、ズバズバとおもったことをくちにします。クラスのなかでヒヤリとする場面ばめんてきたり、「ぼく」もそれにまれたりします。でも、真中まなかさんはちょっと、無理むりをしていたのです。あるときぼくが真中まなかさんにいます。

     「もっとしんじてくれてもいいとおもう。真中まなかさんがて、ちょっとずつみんなわったよ」

     こんなことをってくるがいたら、本当ほんとう自分じぶんせられるともだちになっただろうな、とおもいます。

     クラスの空気くうきとかノリ、そして自分じぶんのキャラは、ぜったいにこわしてはいけないとおもっていました。

     でも、そのなかでも、村井むらいくんとは正直しょうじきはなせたわけで……。ともだちに、自分じぶんせた瞬間しゅんかんって、ずっとこころのこるものです。


    『チキン!』

    いとうみく・ちょ こがしわかおり・

    文研出版ぶんけんしゅっぱん 1404えん


     エッセイストの華恵はなえさんが、ほんにまつわるおもきなほん紹介しょうかいします

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