連載

いただきます

「食」から人々の物語を描きます。

連載一覧

いただきます

シリア料理×さいたま 家族と祖国の塩味

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
イラスト・佐々木悟郎
イラスト・佐々木悟郎

 午後6時40分すぎ、スマホのアプリから日没を知らせるアラビア語の声が響いた。さいたま市の静かな住宅街にあるアパート。シリア出身のヨセフ・ジュディさん(34)は床に座り、一言だけ祈りの言葉を口ずさむ。2人の子供が弾むように集まり、1歳の次女を抱えた妻ファルハさんが床に並べた料理を取り分け始めた。

 日中は水も食べ物も口にしないイスラム教の断食月(ラマダン)は今年は5月16日に始まった。食事はイフタールと呼ばれる日没後の夕食と、日の出前の朝食の2回だけ。断食後の食事は格別だ。

 この日、ファルハさんが作ったのはシリアの代表的な家庭料理マクルーバ。ジャガイモや牛肉を塩などで味付けした炊き込みご飯だ。「マザー(母)がよく作ったね。みんなでよく食べたね」。ジュディさんが懐かしむ。シリアは内戦が続き、イフタールをともにした家族や友人は他国に逃れ、ばらばらになった。

この記事は有料記事です。

残り648文字(全文1028文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集