メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

論点

カジノ解禁を考える

鳥畑与一・静岡大教授

 カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が成立した。3カ所の誘致候補地には大阪府や和歌山県などが名乗りを上げている。経済効果は年2兆円ともされるが、試算の妥当性には疑問符が付き、ギャンブル依存症患者が増える可能性を危惧する声も出ている。カジノ解禁という賭けは、日本社会にとって吉と出るか、凶と出るか。

 1970年にノーベル経済学賞を受賞した米経済学者のポール・サミュエルソン氏はカジノについて「新たな価値を生み出さない無益な貨幣の移転」と述べた。偶然性に任せて賭け金を取り合うギャンブルは、実体経済を支える付加価値を生み出さず、ポケットからポケットへのカネの移転でしかないという意味だ。さらにサミュエルソン氏は、ビジネスとして実施されるギャンブルは胴元の企業側が必ず勝つ仕組みだから、ギャンブルの本質は所得の不平等を拡大していくことだとも指摘する。世界全体で見た場合、カジノは市民を豊かにしないビジネスだ。

 では、日本にとってカジノによる経済成長は見込めるのか。すでにシンガポール、マカオ、韓国などアジアには多くのカジノがある。誘致を目指す自治体などの試算を見ると、日本のカジノの外国人客の割合は多くて2割程度だ。カジノ客の中心は中国人とみられ、中国と地続きという地の利があるシンガポールやマカオとのパイの奪い合いになれば、日本のメリットが大きいとはいえない。

この記事は有料記事です。

残り3924文字(全文4505文字)

コメント

投稿について

読者の皆さんと議論を深める記事です。たくさんの自由で率直なご意見をお待ちしています。

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

利用規約

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. タイ首相、改憲手続き表明 臨時国会で デモの早期沈静化図る

  2. #排除する政治~学術会議問題を考える 「だんまり決め込むなら、学術会議はなくなったらいい」木村幹教授の痛烈投稿 その真意は

  3. 04年政府文書「首相の任命拒否想定しない」 学術会議、現行の推薦方式導入時に

  4. 札幌で最多46人感染 芸能事務所でクラスター「メンバー体調不良でもイベント」

  5. 大阪市4分割ならコスト218億円増 都構想実現で特別区の収支悪化も 市試算

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです