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社説

岸田氏が総裁選不出馬 自民党の閉塞感が表れた

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 9月の自民党総裁選について、立候補を検討していた岸田文雄政調会長がきのう、出馬を見送り、3選を目指す安倍晋三首相を支持する考えを表明した。

     これにより総裁選は、首相が一段と優位になったのは確かだろう。だが候補の一人がこうして早々と戦線離脱すること自体、「安倍1強」状況の下で自民党に広がる閉塞(へいそく)感を表していないか。

     衆参両院で自民党が多数を占める今、総裁選は事実上の首相選びの場だ。中でも今回は首相が3選されれば、首相在任期間が戦前、戦後を通じて最長となる可能性が出てくる重要な選挙である。しかも2015年の前回総裁選では安倍首相が無投票で再選された。今回、複数が立候補すれば政権復帰後初めてとなる。

     第2次安倍政権が発足して、もう5年半が過ぎた。官邸が官僚の人事を握り、それを恐れる官僚が首相らに忖度(そんたく)する弊害が指摘されて久しい。首相自らの問題でもある森友、加計問題も決着せず、財務省は文書改ざんまで引き起こした。

     安全保障関連法など反対意見を封じて与党の数の力で成立させる強引な手法も目立った。経済政策も当初、アピールしていたような成果をあげているとは言えず、首相は「まだ道半ば」と繰り返すばかりだ。

     野党の非力に助けられ、衆参両院選で大勝し続けているとはいえ、最近でも大半の世論調査で内閣不支持が支持を上回っているのが実情だ。

     総裁選には他に、石破茂元幹事長と野田聖子総務相が出馬に意欲を示している。だが元々、自民党が総裁任期を「連続2期6年まで」から「連続3期9年まで」に延長したのは安倍続投を念頭に置いたものだ。

     岸田氏が不出馬を決めたのも、安倍首相と戦えば、総裁選後の党人事や内閣改造で自ら率いる派閥に不利になるかもしれないとの計算が働いたと思われる。

     かつて多くの首相候補が激しく争っていた頃は、総裁選は政策や政治姿勢を転換し、国民の党に対するイメージを変える場でもあった。政権党の開かれた論戦は国民全体にとっても有益だ。「安倍首相3選」の結論ありきで、多様な議論が展開されないとすれば、これもまた民主主義の危機と言うべきである。

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