メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

号外安倍首相、自民党総裁選で3選 石破氏破る
東南アジア探訪記

川の悪臭にふたをする!?

川を覆うように張られた悪臭対策のネット。奥に見える高層ビル群がアジア大会の選手村=ジャカルタで2018年7月23日、武内彩撮影
上流から流れ着いたゴミを網ですくう清掃員。多くは両岸の家庭から出たものとみられる=ジャカルタで2018年7月23日、武内彩撮影
ナノバブルを発生させる装置などによりわき出た白い泡=ジャカルタで2018年7月23日、武内彩撮影
悪臭対策のために川に張られたネットには、すでにゴミが投げ捨てられていた=ジャカルタで2018年7月23日、武内彩撮影

 臭いものにはふたをしろ--とばかりに、どぶ川をネットで覆う悪臭対策がインドネシアで始まった。8月18日にジャカルタなどで開幕するアジア大会で、各国の選手団を迎える準備の一環だ。インドネシアにとってアジア大会は、街の発展ぶりを世界に見せる絶好の機会。街中では急ピッチで歩道の整備やバス停などのペンキ塗り直しが行われ、一夜にして見慣れた景色が変わるほどだ。そして、悪臭対策もしなければ、ということのようだ。

 アジア大会の期間中、日本を含む各国から参加する1万人以上の選手団がジャカルタ市内に新築された選手村に滞在する。高層建物10棟からなる選手村があるのは、ジャカルタ北部クマヨラン。家屋が肩を寄せ合うように密集し、家族を乗せたバイクがひっきりなしに行き交う「下町」に隣接する。

 問題になっているのが、下町と選手村の間を流れるセンティオン川の悪臭だ。川幅およそ10メートル、周辺の家庭排水をのみ込みながらジャカルタ湾に流れ込む。真っ黒な水に阻まれて、深さは推し量ることもできない。この川から強烈なヘドロ臭が巻き上がっている。

 地元自治体が悪臭対策として導入したのが、目の細かい真っ黒なネットだ。選手村のある区間で川面を覆い、直射日光を遮ることで水温の上昇を防ぐ。そうすれば悪臭の発生を抑える効果が期待できるという。

果たして川の臭いにふたはできるのだろうか

 7月23日午後、ネットが張られたセンティオン川を訪れてみた。

 川面から数メートル上となる道路脇の手すりにネットが取り付けられていた。巨大な日傘のようだ。うっすらとヘドロ臭はするが、耐えられないほどではない。効果が出ているのか川のそばで雑貨店を営むロディアさん(45)に聞いてみた。「正直に言うと、臭いに慣れすぎて違いが分からない。よそから来た人が大丈夫だと言うなら、そうなんでしょう」と素っ気ない。「こんなネットで臭いがなくなるなら大歓迎だけどね」

 選手村から離れて上流に向かって歩くと、ネットが途切れた。臭いがとたんにきつくなった。風向きによっては顔をそむけたくなるほどだ。両方を比較すると、やはりネットの効果はあるのかもしれない。川では清掃員が流れ着いた菓子袋やペットボトルなどのゴミを網ですくっていた。アジア大会とは関係なく日ごろから行っているらしい。川岸にはこの日に集めた分だというゴミが積まれていた。

 近くではモーターが稼働し、大量の白い泡が出ていた。ナノバブルを発生させる装置と川底にたまったヘドロをかき混ぜる装置だという。ヘドロを分解して水質を改善するため、ナノバブルを水中で発生させて微生物の成長を促す仕組みだ。こちらはアジア大会に向けて2週間前に導入された。

 現場で水質改善を監督するランガ・レイナロさんは「2週間前は真っ黒だった水が透明に近くなってきている。ここでナノバブルの効果が証明されれば、他の河川でも導入されることになる」と胸を張る。

ゴミは川へ…

 帰りがけに川を撮影していると、通りかかった少年が食べ終えたスナック菓子の袋をぽいっと川に投げ捨てた。あっという間の出来事で、すたすたと歩き去る後ろ姿に掛ける言葉もなかった。ゴミをすくっていた清掃員の男性が教えてくれた笑い話が急に笑えなくなった。「あのネットが何のためかって? ゴミ受けだよ。ネットがあったら、みんな川にゴミを捨てられなくなるだろ」。確かにネットにはすでにペットボトルや電池、残飯が引っかかっていた。街の美化が進むこの機会に、ネットやナノバブルとともに「川にゴミを捨てない」の意識改革を作戦に加えてみてはどうだろうか。【武内彩】

ネットが途切れると真っ黒な水面がのぞき、ヘドロ臭がきつくなる=ジャカルタで2018年7月23日午後1時49分、武内彩撮影

武内彩

ジャカルタ支局記者。1980年和歌山県生まれ。2005年に毎日新聞に入社、神戸支局を振り出しに大阪社会部の在籍が長かった。東南アジア好きは学生時代のフィリピン留学以来。担当地域はインドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、オーストラリアなど。

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 自民党総裁選 小泉進次郎氏、石破氏を支持
  2. 国立病院機構 大分医療センターで死亡した女性遺族が提訴
  3. 安室さんコンサート 療育手帳提示で入場できず 返金へ
  4. 小泉進次郎・自民筆頭副幹事長 「モリカケやっぱりおかしい」 特別委設置求める
  5. 自民党総裁選 石破氏、「応援なら大臣辞めろ」はパワハラ

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです