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社説

日本の科学研究力 「選択と集中」が招く低迷

 日本の科学研究力の低迷を示すデータが相次いで発表されている。このままでは、政府が掲げる「科学技術立国」も幻と化すのではないか。

     今年の科学技術白書によれば、2013~15年に発表された日本発の論文数の国際シェアは4位、質の高さの目安となる被引用数が多い論文のシェアは9位だった。03~05年はそれぞれ2位と4位だったが、中国や欧州勢に抜き去られた。

     この間、日本の科学技術関係予算はほぼ横ばいだが、米国や中国、英独などは大きく伸ばしている。

     英科学誌ネイチャーは昨年、「科学界のエリートとしての日本の地位が脅かされている」と警告した。

     厳しい財政状況の中、国立大学の基盤的経費である国の運営費交付金は、04年の法人化後に1500億円近く減った。若手研究者の職探しも難しく、不安定な身分を嫌う学生が博士課程に進まなくなっている。

     こうした中、政府が力を入れてきたのが、分野を選択して短期的に集中投資し、社会にイノベーションを起こす戦略だ。特に内閣府が主導する大型研究プロジェクトが目立つ。

     「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、14年度から5年間で自動運転技術など11課題に約1580億円を投じたが、目立った成果は出ていない。内閣府の他のプロジェクトも同様だ。

     そもそも「選択と集中」がイノベーションにつながるとは限らない。どんな研究や発想が画期的な成果をもたらすかを予測することは難しいからだ。

     だからこそ、幅広い分野の基礎研究に資金を投入し、長期的に研究の芽をはぐくんでいく必要がある。

     日本の科学技術関係予算は英仏などに比べまだ多い。予算の過度な選択と集中が、多様な研究の土台を揺るがし、若手研究者の意欲を低下させてはいないだろうか。

     政府が6月に閣議決定した統合イノベーション戦略では、文部科学省の科学研究費補助金(科研費)を若手に重点配分する方針などを打ち出した。方向性は理解できるが、科研費の採択審査では、短期的な成果にとらわれない評価が必要だ。

     将来を担う若手が活躍しやすい環境を確保しない限り、日本の研究力の低迷は続くだろう。

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