
社会人野球の頂点を決める第89回都市対抗野球大会は、大阪市・大阪ガスが24度目の出場で悲願の初優勝を果たし、熱戦の幕を閉じた。決勝の試合後、胴上げ投手になった大阪市・大阪ガスの緒方悠投手の目には歓喜の涙があった。あと一歩のところで優勝旗の黒獅子旗を逃した神戸市・高砂市の三菱重工神戸・高砂の守安玲緒投手の目には悔し涙があった。
この春からアマチュア野球担当になり、9年ぶりに都市対抗を取材した。まだ30歳になったばかりだった前回の取材時、強く印象に残ったのは「大人の涙」だった。青春真っ盛りの高校生が集う甲子園での選手の涙は定番だが、社会人の選手は20代から30代前半までがほとんどだ。家庭を持つ選手も大勢いる。その青年たちが目の前の一球に全身全霊を込め、結果に目を赤くしていた。その光景は一つも変わっていなかった。今大会も予…
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