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モリシの熊本通信

医療費免除の復活を求める声 /佐賀

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 多くの人々の不安を解消してきた熊本地震の被災者の医療費免除。この措置が昨年9月いっぱいで打ち切られた。

 医療費免除は、国民健康保険と後期高齢者医療制度の加入者のうち、自宅が全半壊した被災者が対象で、窓口負担を全額免除するというもの。国が全額を補助し、補助率が下がった昨年3月以降は、県が減額分を負担していた。現在、県内で継続している市町村は、存在しない。

 医療費免除打ち切りで苦しんでいる人たちがいる、との情報が筆者に寄せられ、熊本県甲佐町の白旗仮設団地を訪れた。

 今回、話を聞くことができたのは、同団地に入居する西本安幸さん(82)。地震で自宅を失い、妻(82)と仮設住宅に身を寄せている。西本さんは、近い将来、災害公営住宅に入居しようと考えている。そこでは仮設住宅では必要のなかった家賃が発生するため、年金が支給される度、一部を貯蓄に回してきた。

 昨年10月、植木を剪定(せんてい)中に落下し、腰を骨折。手術が必要だったが、「次の生活が不安」と、病院の説得を振り切り仮設住宅に戻った。しかし、痛みに我慢できなくなり、再度受診。医師から「このままでは動けなくなる」と告げられ、手術を決意した。以前は足腰が強かった西本さんだが、現在は杖が手放せない。そして、今も腰の痛みに悩まされている。それでも、将来への経済的不安から、診察は受けないと決めている。

 「お金はなっだけ使わんごつしとっとです(極力使わないようにしているんです)。収入も年金しかなかし(しかないし)」。西本さんの言葉と、苦しそうな表情が、頭から離れない。

 こうした状況を受け、今年4月、仮設団地の自治会長らが、被災者向け医療費免除の復活を求める団体を設立。署名活動を開始した。集めた署名は9月に県へ提出する予定という。

 熊本県内のある自治体では今年、首長が議会本会議で「(全額免除措置を)実施するのは困難」と述べるなど、風向きはあまりよくない。しかし、経済的に苦しい生活を送る被災者は、思いのほか多いのだ。新聞記者時代から感じていたことだが、本当に支援が必要な人たちの声に限って、なぜか届かない。国民も政治家も、もっと小さな声に耳を傾けてほしいと強く願う。


 ■人物略歴

田中森士(たなか・しんじ)

 マーケティング会社「クマベイス」(熊本市)代表取締役、ライター。熊本県立高常勤講師、全国紙記者を経て古里の熊本市で起業した。熊本地震後は、復興支援活動に携わりながら、執筆やイベントを通し、被災地の現状を伝えている。モリシは愛称。熊本市南区在住。

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