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渡辺保・評 『言葉の魂の哲学』=古田徹也・著

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 (講談社選書メチエ・1836円)

言葉を選択する行為に「倫理」が必要

 最近の国会や大学、スポーツ界では、言った言わない、会った会わない、記憶にないといった言葉が乱れ飛んでいる。どう考えてもウソとしか思えないことを平然と口にする人もいる。そういう局面に出会う度に、私たちは言語不信に陥る。もう一度言葉とはなにかを考えてみる必要があるだろう。

 本書は、その私たちの不満を一気に霧散させる快著である。一見難しそうに見えるが、簡潔平易、具体的でわかりやすい。 まず中島敦の小説「文字禍」とホーフマンスタールの「チャンドス卿の手紙」を取り上げて言語不信の実態を描いた後、言語哲学の原点ウィトゲンシュタイン、最後にカール・クラウスの言語論をやさしく分析する。 言葉には、それを聞いた人間がピッタリだと感じる言葉と、空疎あるいは違和感を感じる言葉がある…

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