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炎のなかへ

/217 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

 そのとき自分は再び死ぬのだろうか、そしてまた不死身の人のように甦(よみがえ)り、家族の誰かを助けることができるのか。二度あることは三度あると諺(ことわざ)はいう。この命は何度もつのだろう。もしかしたらアメリカ流に猫の命と同じで九つか。そんな馬鹿(ばか)な。登美子が防空頭巾を押さえ駆けている。

「もういやだー」

 轟音(ごうおん)をあげて腹を割ったB29が機械の内臓をさらし、悠々と頭上を飛び過ぎていく。タケシの右手に映画館が見えた。封切り作を数カ月遅れで上映するちいさな二番館だ。ポスターにはゼロ戦と炎をあげて墜落していくB29が描かれていた。現実の世界とは正反対である。よかった。入口のうえにはしっかりとした丸屋根がついている。

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