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我らが少女A

/355止 第9章 35=高村薫 田中和枝・挿画監修

 西武多摩川線沿線は、外大の新学期や子どもたちのスポーツシーズンが始まり、平日も休日も同じダイヤで走る四両編成の一○一系に明るい声を響かせる。多磨駅の場内やホームとそこに立つ駅員たち、乗り降りする利用客の風景も遠目には何も変わらない、いつもの春だ。

 もっとも、よく眺めると、午前七時台から八時台のラッシュ時に駅に降り立つ利用客のうち、とくに警大関係者の顔ぶれの半数ほどが入れ替わっていたりもする。つい先月まで小野がほぼ毎日見かけていたあのジェラード保安官補もその一人だが、小野は男が桜田門の本庁へ異動したことは知らない。一方、和製キンブルのほうは去年の十一月末を最後に駅に現れなくなっていたし、息子の浅井忍は暮れの二十六日早朝、交通事故で死んだ。佐倉真弓がLINEで知らせてきたのは午前七時過ぎだったが、小野がスマホを見たのは、券売機のトラブルで…

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