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旧優生保護法を問う・記者の目

旧優生保護法提訴を実名報道して 誰もが犠牲になり得た=安達恒太郎(北海道報道部)

提訴後の記者会見する小島喜久夫さん(右)と夫を励ます妻麗子さん=札幌市中央区で5月17日、貝塚太一撮影

 10代後半で旧優生保護法(1948~96年)に基づく不妊手術を強いられたとして国への損害賠償を求めて札幌地裁に提訴した札幌市の小島喜久夫さん(77)は、私が取材した時、旧法を巡る国賠訴訟の原告や提訴予定者として初めて実名を明かすと決断した。生い立ちの悲劇から歯車が狂い、不妊手術を強制された人生は、「制度の犠牲になった」の一言で済まされない。同じように手術を強制された当事者たちの証言などから見えてきたのは、障害者かどうかにかかわらず、不妊手術の対象基準が極めてあいまいで、誰が対象になってもおかしくなかったという怖さだった。

 提訴1カ月前の4月、北海道内で初めて国賠訴訟の原告になると決断していた小島さんを訪ねた。経緯を知りたいと求めた私に、小島さんは快諾し、さらに「実名でいい」と続けた。正直驚いた。新聞は実名報道が原則だが、当事者たちが差別や偏見への懸念から報道に際して匿名を望むことも少なくないからだ。

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