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広島・福山工高

VRで被爆前を再現 被爆者と練り上げ

原爆で破壊される前の広島市細工町と横町。正面は広島郵便局=広島県立福山工高計算技術研究部提供

 「1発の原爆で生活を失う怖さと、復興のすごさ」を体感で伝えようと、広島県立福山工高(福山市)の計算技術研究部が、爆心直下にあった広島市細工町(現中区)の原爆投下前の町並みをバーチャルリアリティー(VR=仮想現実)で再現した。2016年から写真や絵はがきなどを基に開発し、被爆者らに繰り返し見てもらい、「生活感を感じられる町並み」を目指した。再現作業を通して、生徒たちは「原爆についてより深く理解することができた。だからこそ伝えていきたい」と話す。

     完成したVRは、上空約600メートルで原爆がさく裂した島病院(現島内科医院)を中心に南北約600メートルを自由に巡ることができる。病院の中庭や旧広島郵便局の1階を見学できるほか、元安川で遊んだという証言から階段を下りて川の中に入ることもできる。全天球カメラで撮影した現在の町並みが映し出されるスポットが7カ所あり、再現VRと現実の映像を比較することも可能だ。

     顧問の長谷川勝志教諭(52)によると、VRの特徴である没入感を高めるため、写真などに残る壁の凹凸を再現したり、当時の工業力からガラスの透明度を割り出したり、どの角度から見ても違和感のないような光の反射などきめ細かい表現を心がけた。長谷川教諭は「資料や証言に基づいて正確な再現を目指した」と話す。現在は平和記念公園となっている旧中島本町や旧猿楽町を20年までに作り上げる予定だ。

     これまでに、細部描写をしない試作を公開し、被爆者ら延べ1300人に体験してもらい、感想を聞いた。長谷川教諭は「当時を知る人に早く見てもらおうと開発を急いだが、体調を崩して行けないと言われるなど、被爆者の高齢化を感じた」という。

     1年時から関わり、県産業奨励館(現原爆ドーム)の内部を作っている中川勇飛部長(18)は「見た人が当時の思い出を懐かしそうに語ってくれる。思い出を引き出せるところにVRの力を感じる」と話す。原爆についてはこれまで「多くの市民が被害に遭ったことに怖さを感じていた」と話し、制作に関わるまでは、正面から考えることを避けてきたが、作業を通して自然と先輩たちから話を聞く機会が増えた。「怖さは消えないが、より深く理解することができた」と話した。【松井勇人】

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