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加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

バッハとイタリア・オペラをテーマに、執筆、講演、音楽ツアーの企画など多彩に活動する加藤浩子さんのコラム。クラシックナビ連載。

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加藤浩子の「街歩き、オペラ歩き」

プッチーニが愛した湖のほとりで楽しむ野外オペラ〜トッレ・デル・ラーゴ プッチーニフェスティバル

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湖上を舞台に繰り広げられるプッチーニ音楽祭
湖上を舞台に繰り広げられるプッチーニ音楽祭

 夏は、野外オペラのシーズンだ。古代遺跡がそのまま会場になったり、修道院の中庭に舞台がつくられたり、湖上にステージが設けられたり、いろいろな場所で繰り広げられる野外オペラは、周囲の環境や自然のできごとも舞台の一部。それもひっくるめて、忘れられない経験ができる。

 歴史の古いイタリアでは、ローマ帝国時代の闘技場が使われるベローナや、海を見下ろす高台にあるギリシャ時代の野外劇場で開催されるシチリア島タオルミーナの音楽祭など、遺跡を会場にした野外音楽祭が多い。そんななか、中部イタリア、トスカーナ州のトッレ・デル・ラーゴで、マサチュコッリ湖の湖上舞台を会場に開催されるプッチーニ音楽祭は、由来も環境もとてもユニークな音楽祭である。

 「トッレ・デル・ラーゴ」は、「湖の塔」という意味。湖のほとりに、19世紀の貴族が建てたという質素な石造りの塔(=トッレ)が建っているためについた地名だが、正直、辺鄙(へんぴ)な田舎町である。湖といってもそう大きいわけでもなく(面積は6.9平方キロ)、水深も浅くて(最深で2.9メートル)、湖というより池や沼に近い。実際、周囲は沼沢地だ。けれど「トッレ・デル・ラーゴ」が特別なのは、イタリア・オペラの…

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