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炎のなかへ

/220 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

 最初と最後なら、交差点を渡ってもなんとか命は助かる。けれど炎の盛りなら自分たちから死地に飛びこむことになる。タケシは進退きわまった。これまで風を読み、炎の勢いを感じ、すべての感覚を動員して、すこしでも安全な場所を探し求めてきた。それもここで終わりのようだ。炎の壁にはばまれて、もう先にすすむことはできない。後方では新たに街が燃え始めている。ここに残れば、未来がないのははっきりしていた。今夜見た何千という焼死者の列に自分も時田家の人々も並ぶことになるだろう。

 空を見あげると、新たなB29が悠々と東京の空に飛来していた。アメリカの空襲には終わりがないようだ。あの銀の翼が普通の人たちが暮らす街の上を飛ばない世界はないのだろうか。

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