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社説

大島衆院議長が異例の所感 常識をあえて説く深刻さ

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 大島理森衆院議長が先の通常国会を振り返る異例の所感を公表した。

     政府による公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)、誤ったデータの提供などが相次いだことについて「民主的な行政監視、国民の負託を受けた行政執行といった点から、民主主義の根幹を揺るがす問題」と指摘した。

     そのうえで議長は行政府と立法府の双方に自省を求めている。

     議院内閣制のもとでは、国民が民主的な手続きによって国会議員を選び、その多数派から首相を選出することにより、内閣の持つ行政権に正当性が付与される。主権を有する国民からの委任の連鎖だ。

     だからこそ国会は立法権のみならず、国民に代わって行政を監視する権限を持つ。内閣は自らの生みの親である国会に対し、行政権の行使について連帯責任を負うのである。

     所感は特別なことを言っているわけではない。国政に参画する者であれば当然わきまえておくべき常識だ。それをあえて唱えなければならないところに問題の深刻さがある。

     国民を代表する立法府を行政府が欺いていたにもかかわらず、内閣はその責任を一部の官僚に押しつけ、だれも政治責任を取らない。

     立法府の側では与党が一貫して真相究明や責任追及に消極的だった。与党である前に議会人であるという自覚が極めて乏しい。その結果、立法府と行政府をつなぐ責任の糸がぷっつりと切れてしまった。

     立法府と行政府との緊張感を取り戻すにはどうすればよいのか。議長の所感は憲法62条に基づく国政調査権のさらなる活用を提起している。

     森友・加計問題では少数派の野党が求めた証人喚問などの調査権行使が与党の数の力で阻まれた。

     ドイツ連邦議会では4分の1の議員が申し立てれば調査委員会が設置される。日本の国会でも調査権の発動要件を緩和する議論が必要だ。

     自民党出身の議長が抱く危機感をよそに、自民党内では国会が閉会したら何事もなかったかのように9月の党総裁選へ向けて「安倍3選」の動きが加速している。

     過去の自民党政権で国民からの厳粛な信託がこれほど軽んじられたことがあっただろうか。

     「安倍1強」の長期政権下で国会はその権威を失いつつある。

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