鳥取出身の小説家は数えるほどしかいない。小説を好んで読むようになって改めて感じたのは、鳥取を舞台にした作品の少なさだ。その数は、東京はもちろん、他の地方都市とも比べものにならない。舞台やテーマは著者の自由だし、彼らにとって他の土地に追求すべき題材があったということだろう。だとしても、自分が少年期を過ごした街の風景に、何冊本を読んでも出会えないのはどこか寂しい。
根生(ねお)いの地、という表現にはじめて触れたのは、二〇一二年に北海道立文学館で開かれた「李恢成(りかいせい)の文学 根生いの地から朝鮮半島・世界へ」という展覧会だった。作家本人による講演で彼は、自分という人間は樺太・真岡と札幌で生まれ育ち、北海道を離れた今もそれらの土地に根を張って小説を書き続けている、というようなことを言っていた。
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