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経済観測

毎日新聞経済面に連日連載の経済コラム。経営者や経済評論家らが独自の視点で、経済の今とこれからを展望する。

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部分解放された日本銀行=国際公共政策研究センター理事長・田中直毅

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 7月末日、日本銀行は低い長短金利の持続と長期金利の変動幅の拡大を決めた。8月1日から市場では、長期金利の上昇余地を探る債券の売り買いの交錯が始まった。当局による今後の市場介入手法を試すのが債券ディーラーの当面の仕事だ。

 金融緩和長期化の弊害の最たるは、国債に代表される債券の売り買いを通して市場が持つはずの価格発見機能をないがしろにしたことだ。債券価格を見通すことを職業とする専門家は不要となった。

 熟練という基準が、リスクと収益率の組み合わせによる金融商品の選択を旨とする資産運用業界から消失した。このため、年金拠出を続ける最終投資家の利益だけを考えて運用資産を選び出すという資産運用者にとっての受託者責任(フィデューシャリー・デューティー)原則も空洞化した。なぜなら最も信用度が高い国債の利回りの無意味化は、委託者への奉仕の基準を消失させた。当然ながら国際的にみて日本の金融市場は構造的に劣後し…

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